最近目にする機会が増えた「過払い金請求」。
グレーゾーン金利が撤廃されることが決定した2006年より以前の借金に関しては、返済の際に金利を払い過ぎている可能性があります。
グレーゾーン金利撤廃が決定してから10年が経つため、高い金利のまま借金を完済してしまっている人もいることでしょう。
そうして完済した借金に関して、過払い金請求はできるのかについて解説します。
完済済みの場合、タイムリミットがある
民法では、主張できる権利を10年使わないでいると、その権利を失うことになっています。
過払い金とは、利息制限法を超えて不当に高い金利で金融業者がお金を受け取っているので、本来なら払わなくてもいいお金を業者に払っている状態です。
2006年のグレーゾーン金利撤廃の決定を受け、2007年以降は大手業者は順次金利を引き下げています。
したがって、2007年よりも以前に開始した取引に関して、過払い金がある可能性があります。
払い過ぎているのであれば過払い金の返還請求ができますが、この権利は完済してから10年間有効となっています。
10年の間に権利を主張しなければ過払い金を返してもらう権利は消えてしまうのです。
この場合の10年とは、「最初に借りた日から10年」ではなく「返済が終わった日から10年」であることに注意しましょう。
10年を過ぎても過払い金を取り戻せるケース
完済から10年以上経っていて、同じ業者から新たに借金をしていないという場合は、残念ながら過払い金の請求を行うことはできません。
グレーゾーン金利での借金を完済後、同じ業者から法定金利で続けて借金をしているケースなら、原則として取引は継続しているということになり、直近の完済日が時効の起点になりますので、過払い金請求ができる可能性があります。
ただし同じ業者でも契約の終了後、内容を変更して新たに契約をしたり、以前の取引から長期間の空白がある場合は以前の契約とは別契約とみなされてしまうため、原則として完済日から10年以上経過していれば過払い金請求を行うことはできません。
また、大声を上げる、大人数で押しかける、夜間の電話の繰り返し、脅迫のビラを貼るなど、不当な取り立てを受けていた場合は「損害の事実を知った時から3年」に時効が変更します。
不法行為かどうかは裁判所が判断しますが、完済から10年以上経っていても、不当な取り立てを受けていたケースなら、損害賠償として過払い金分を請求することができる可能性があります。
金融業者が倒産していたら?
グレーゾーン金利撤廃後、過払い金の請求が相次いだことにより、金融業者が倒産するというケースが続発しています。
業界最大手の一つだった武富士ですら、過払い金請求によって倒産してしまいました。
倒産後、一定期間は請求を受け付けてくれますが、返金額は大幅に圧縮されてしまいます。
また、業者が倒産し時間が経っている場合は過払い金請求はできません。合併している場合は、新しい業者に対し過払い金の請求をすることができる場合があります。
完済済みの過払い金請求に関しては、取引の内容や業者の有無など細かな条件をチェックしていく必要があります。
過払い金の請求にはタイムリミットがあるため、過払いの可能性がある方は早めに司法書士や弁護士などの専門家にご相談なさることをおすすめします。