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任意整理から個人再生への切り替えは可能?変更の条件や注意点を解説

借金の返済が苦しくなったとき、債務整理の方法として「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つがあります。任意整理とは金融機関と直接交渉して、返済計画を見直す手続きですが、それでも解決が難しい場合に他の手続きの方法を検討することもあるでしょう。

この記事では、「任意整理」と「個人再生」の手続きの基本から、任意整理から個人再生への切り替えが可能であるのかを解説します。

任意整理と個人再生|手続きの基本知識

借金問題には様々な解決策があります。ここでは「任意整理」と「個人再生」について、両手続きの基本的な仕組みから具体的な違いまで、分かりやすく解説します。

任意整理とは?基本的な特徴とメリット・デメリット

任意整理は、お金を貸している金融機関など(債権者)と直接交渉し、返済条件を見直してもらう手続きです。裁判所を通さないため、比較的プライベートな形で借金問題を解決できるのが大きな特徴です。

具体的には、将来の利息をなくしてもらったり、月々の返済額を減らしてもらったりする交渉が中心です。例えば、消費者金融3社から合計200万円の借金がある場合、利息を含めると300万円近くになる返済総額が、元本の200万円程度まで圧縮できる可能性もあるのです。

任意整理のメリットは、手続きが比較的簡単で費用も抑えられる点です。さらに、整理する債権者を選べるため、住宅ローンや車のローンは除外し、クレジットカードの債務だけを対象にする、といった柔軟な対応もできます。家族に知られずに手続きを進められるのも、安心材料となる方が多いでしょう。

一方で、デメリットもあります。元本の大幅な減額は期待できません。あくまで利息のカットや返済期間の延長が中心ですので、借金総額が非常に大きい場合は根本的な解決にならない可能性も考えられます。また、信用情報機関に事故情報が登録され、約5年間は新たな借入れやクレジットカードの作成が難しくなるでしょう。

さらに、債権者との交渉が成立しなければ、任意整理自体が成り立ちません。特に借金額が大きすぎる場合や、返済能力に不安がある場合、債権者が交渉に応じてくれないケースもあるからです。そのため、安定した収入があり、3年程度で完済できる見込みがある方に適した手続きと言えるでしょう。

個人再生とは?基本的な特徴とメリット・デメリット

個人再生は、裁判所に申し立てて借金を大幅に減額してもらう法的な手続きです。任意整理と違い、債権者の同意がなくても裁判所の認可さえあれば手続きを進められます。最大の魅力は、借金の元本を5分の1程度まで圧縮できる可能性があることでしょう。

たとえば、500万円の借金があるケースでは、個人再生によって100万円程度まで減額され、これを3年間で分割返済していく形になります。住宅ローンがある方なら、「住宅ローン特則」という制度を活用すれば、自宅を手放さずに借金整理を行うことも可能なのです。

個人再生の最大のメリット、それは何といっても借金が大幅に減ることです。数百万円単位の借金であっても、返済可能な範囲まで圧縮できます。また、マイホームを維持しながら借金整理ができる点は、家族がいる方にとって非常に大きな安心材料となるはずです。

さらに、任意整理では解決が難しい高額な借金や、債権者が交渉に応じない場合でも、裁判所の認可によって強制的に借金を減額できるのが個人再生です。ギャンブルや浪費が原因の借金であっても、自己破産のように免責されないといった心配も少ないため、手続きを進められる可能性が高い点も特徴と言えるでしょう。

ただ、個人再生にもデメリットはあります。まず、手続きが複雑で、必要書類も多岐にわたる点です。また、官報に氏名や住所が載るため、プライバシーを完全に守ることは難しくなるでしょう。費用面でも、裁判所への予納金や専門家への報酬を含めると、任意整理よりも高額になる傾向があることを覚えておいてください。

利用条件も任意整理より厳しく、将来にわたり継続的な収入の見込みがある方に限られます。それに、借金総額が5,000万円を超える場合は利用できません。住宅ローンを除く無担保債務が100万円未満の場合も、減額効果がほとんど期待できないこともあります。信用情報への影響も約5〜10年間と長期にわたるため、慎重な検討が必要なのです。

任意整理と個人再生の主な違いを比較

任意整理と個人再生の最も大きな違いは、手続きの性質と減額効果にあります。それぞれの違いを表で比較してみましょう。

比較項目 任意整理 個人再生
手続きの性質 債権者との話し合いによる解決 裁判所を通じた法的な強制力で解決
減額効果 主に将来利息のカット。元本はそのままの場合が多い。 元本自体を5分の1程度まで大幅に圧縮できる可能性あり。
手続きの複雑さ 比較的簡単。専門家へ依頼すれば負担は少ない。 複雑。裁判所への出頭や家計報告など協力が必要。
プライバシー 家族や職場に知られにくい。 官報掲載や裁判所手続きにより、知られるリスクあり。
費用 比較的安価。 裁判所費用に加え、専門家報酬も高額になる傾向。
適用条件 債権者の同意が前提。交渉が成立しない可能性も。 法的要件を満たせば、債権者の反対があっても可能。継続的収入の見込みや借金総額の上限など、条件は厳格。

任意整理を開始したものの、思うように返済が進まずに悩むこともあるかもしれません。実は、任意整理から個人再生への切り替えが必要なタイミングを見極めることで、より確実に生活再建への道筋を描くことが可能です。

任意整理から個人再生への切り替えが必要な3つのサイン

任意整理で和解が成立し、毎月の返済を続けている中で「支払いが苦しい」「今月は払えそうにない」という状況に直面していませんか?この状態が2〜3ヶ月続くようなら、それは個人再生への切り替えを検討すべき重要なサインかもしれません。ここでは、任意整理から個人再生への切り替えが必要となる場合の、3つのサインについて解説します。

1.毎月の返済が困難になった場合の対処法

任意整理では、通常3〜5年間で債務を完済する計画を立てます。しかし、この期間中に返済が滞ると、債権者から「一括で返済を求められること(期限の利益の喪失)」があるのです。例えば、月5万円の返済計画で2ヶ月連続して支払いが遅れた場合、残債務全額の即時返済を要求される可能性があります。

このような状況では、まず家計を見直し、本当に返済継続が困難なのか冷静に判断することが大切です。一時的な支出増加なら、借入れを一時的に調整して乗り切れるかもしれません。しかし、もし構造的に家計の収支バランスが崩れているなら、個人再生という選択肢を真剣に検討する時期に来ていると言えるでしょう。

個人再生では、債務額を大幅に減額(通常は5分の1程度)した上で、3〜5年間での分割返済が可能です。月5万円の返済が困難だった方も、個人再生によって月1〜2万円程度の返済額になれば、生活を立て直しながら確実に債務整理を進められるはずです。

2.収入減少や生活環境変化で返済計画が破綻したとき

任意整理の和解時に立てた返済計画は、その時点での収入状況を元に作成されています。しかし、転職による収入減少や病気・ケガによる休職、家族の介護など、生活環境の変化で返済継続が難しくなることもあるかもしれません。

特に深刻なのは、例えば収入が月30万円から20万円に減少したケースでしょう。手取りベースで月8万円程度の収入が減ると、これまで月5万円の返済を続けていた方にとっては、生活費を切り詰めても返済を続けるのは困難になります。無理に任意整理を続けても、かえって生活が破綻してしまうリスクが高まるばかりです。

そのような場合、こうした生活環境の変化による返済困難が、一時的なものなのか、それとも長期的なものなのかを見極めることが重要です。例えば、転職に伴う一時的な収入減少であれば数ヶ月後には回復する可能性もありますが、病気による働き方の制約や高齢の親の介護が長期間続く見込みなら、根本的な返済計画の見直しが必要になるでしょう。

3.債権者交渉の決裂・督促が止まらない場合

任意整理では、弁護士や司法書士が債権者と直接交渉をします。しかし、すべての債権者が任意整理に応じてくれるわけではありません。特に、一部のクレジットカード会社や消費者金融では、利息のカットや長期分割に応じず、交渉が決裂してしまうケースもあるのです。

もし債権者交渉が決裂してしまうと、その債権者からの督促や取り立ては止まりません。他の債権者とは和解が成立していても、たった1社が強硬な姿勢を続けるだけで、精神的な負担が大きくなり、せっかく始めた債務整理自体が頓挫する恐れもあります。例えば、総額300万円の債務のうち200万円分は任意整理が成立したのに、残り100万円の債権者が交渉に応じず、毎月督促状が届き続ける、といった状況です。

このような場合、個人再生であれば法的手続きとして強制力があるため、すべての債権者が手続きに従うしかありません。債権者の同意を必要としない個人再生なら、交渉決裂による一部債権者の督促も完全に停止させ、包括的な債務整理を実現できるでしょう。

また、任意整理では対象とする債権者を選べるメリットがあります。その一方で、対象外とした債権者からの督促は続くことに注意が必要です。住宅ローンや自動車ローンを除外して任意整理を行った場合でも、それらの債権者からのプレッシャーが続き、結果的に生活の安定が難しくなるケースも少なくありません。

専門家に相談すれば、現在の状況が本当に個人再生への切り替えが適切なタイミングなのか、それとも任意整理の条件調整で解決できるのかを客観的に判断してもらえます。一人で悩み続けるより、経験豊富な弁護士や司法書士のアドバイスを受けることをおすすめします。

個人再生の減額効果と切り替え判断のポイント

任意整理による債務整理の手続きをしたものの、生活が苦しい場合などは「もっと借金を減らす方法はないだろうか」と考えてしまうこともあるでしょう。個人再生なら借金総額を大幅に減額できる可能性があり、状況によっては任意整理より効果的な解決策となるかもしれません。ここでは、個人再生の減額効果と仕組みについて、さらに詳しく解説していきます。

個人再生の借金減額の仕組み

個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額してもらう手続きです。その最大の特徴は、借金の元本そのものを法律に基づいて減らせるという点にあります。

減額の基準は「最低弁済額基準」「清算価値保障原則」という2つのルールで決まります。最低弁済額基準では、借金総額に応じて次の通り減額されるのです。

・100万円未満の場合:全額
・100万円以上500万円未満:100万円
・500万円以上1,500万円未満:借金総額の5分の1
・1,500万円以上3,000万円未満:300万円
・3,000万円以上5,000万円以下:借金総額の10分の1

一方、「清算価値保障原則」とは、もしあなたが自己破産した場合に債権者に配当される金額(あなたの持っている財産の価値)を下回ってはいけないという原則です。つまり、あなたの財産の価値と、先ほどの最低弁済額基準で算出された金額のうち、より高い方を返済することになる、ということです。

例えば、借金が600万円ある方の場合、最低弁済額基準では120万円(600万円÷5)まで減額できます。しかし、もし200万円相当の車をお持ちの場合、清算価値保障原則により200万円を返済する必要があるのです。この仕組みで、債権者の利益も一定程度保護されているわけです。

個人再生のもう一つの大きなメリットは、住宅ローン特則を利用できることです。これにより、住宅ローンはこれまで通り支払いを続けながら、その他の借金だけを大幅に減額できるのです。マイホームを手放すことなく経済的な再建を図れるため、家族がいらっしゃる方にとって、非常に価値の高い制度と言えるでしょう。

借金総額別の減額効果と任意整理との比較シミュレーション

具体的な金額で比較すると、個人再生と任意整理の違いがより明確になるでしょう。

借金総額300万円のケースを見てみましょう。個人再生では100万円まで減額され、これを3年間で返済する場合、月々の返済額は約2万8千円となります。一方、任意整理で将来利息をカットし元本のみを5年で返済するなら、月々5万円の返済が必要です。毎月の負担軽減効果は、実に2万2千円にもなることが分かります。

借金総額が600万円の場合、その差はさらに顕著です。個人再生なら120万円まで減額され、3年返済で月々約3万3千円。一方、任意整理では元本600万円を5年で返済するため月々10万円となり、その差は6万7千円にもなるのです。

ただし、借金総額が100万円程度と比較的少ない場合は、個人再生のメリットが限定的になることがあります。100万円の借金は個人再生でも全額返済することが必要な場合が多く、裁判所費用や弁護士費用を考えると、任意整理の方が経済的負担が少ない可能性もあるでしょう。

重要なのは、個人再生の返済期間が原則3年(特別な事情がある場合は5年)と短い点です。月々の返済額は任意整理より少なくても、短期間での完済を前提とした制度設計であるため、安定した収入があることが絶対条件になります。

また、個人再生には官報への掲載や、警備員・保険外交員など一部の職業への資格制限といったデメリットも存在します。これらの要素も考慮し、トータルで判断する必要があるでしょう。

あなたはどちらを選ぶべき?5つの判断基準チェックリスト

どちらの方法があなたに適しているかは、具体的な状況によって変わってきます。以下の5つのポイントでセルフチェックしてみましょう。

【Check1】借金の総額は300万円を超えているか?

YES → 個人再生による減額効果が大きい可能性があります。
NO → 200万円以下であれば、任意整理で十分な効果が期待できるかもしれません。

【Check2】マイホームを手放したくないか?

YES → 個人再生の住宅ローン特則が大きなメリットになります。
NO → 賃貸住まいや住宅ローンがない場合は、この点は判断材料になりません。

【Check3】月々の収入は安定しているか?

YES → 今後3〜5年間、確実に返済を継続できる安定収入が見込めるなら個人再生に適しています。
NO → 自営業や収入が不安定な方は、柔軟な返済計画を立てやすい任意整理の方が現実的かもしれません。

【Check4】手続きの負担やプライバシーが気になるか?

YES → 裁判所手続きが伴う個人再生は、書類準備や官報掲載があるため、簡素さやプライバシー重視なら任意整理が適しているでしょう。
NO → 手続きの複雑さや周囲に知られるリスクを許容できるなら、個人再生も選択肢です。

【Check5】将来の目標や価値観に合うのは?

短期間で借金問題を根本的に解決し、経済的な再スタートを切りたい → 個人再生が向いています。
時間をかけても自分のペースで着実に返済していきたい → 任意整理が合っているかもしれません。

個人再生の利用条件と資格要件を完全解説

個人再生は借金を大幅に減額できる可能性がある制度ですが、誰もが利用できるわけではありません。任意整理よりも高い割合での借金の減額が期待できる一方で、手続きを進めるには減額な条件があります。ここでは、個人再生の条件について、さらに詳しく見ていきましょう。

個人再生を利用するための基本条件

個人再生を利用するには、まず法律で定められた基本的な要件を満たしている必要があります。これらの条件は、制度の適切な運用と債権者保護のために設けられており、すべてクリアしないと手続きを進められません。

最も重要な条件は、債務者本人が「個人」であることです。法人や会社は個人再生の対象外で、別途法人破産などの手続きを検討することになります。また、自己破産とは違い、個人再生では債務者に一定の返済能力があることが前提となります。そのため、収入の安定性が重視されるのです。

さらに、過去に個人再生や自己破産の手続きをした場合、一定期間は再度の申し立てができません。具体的には、個人再生の返済を完了した日から7年間、または自己破産で免責許可を受けてから7年間は、新たな個人再生の申し立ては原則として認められません。この期間制限は、制度の濫用を防ぎ、計画的な借入れと返済を促すためのものと言えます。

住所については、日本国内に住所または居所があることが必要です。また、反社会的勢力との関係がないことも重要な要件の一つです。申立時には、詳細な財産状況とともに、これらについても誠実に申告することが求められます。

継続的収入・借金総額の条件と制限

個人再生で最も重要な審査ポイントは、継続的な収入があるかどうかです。また借金の総額についても重要になります。個人再生の制度は借金を減額する代わりに、残った債務を原則3年間で返済する計画を立てることが前提です。だからこそ、安定した収入源があることが絶対条件となります。

継続的な収入として認められるのは、正社員の給与収入だけではありません。パート・アルバイト収入、自営業による事業収入、年金収入、不動産賃貸収入なども対象です。ただし、収入の「継続性」と「安定性」が重要になります。一時的な収入や変動の激しい収入の場合、詳細な説明と将来の収入見込みを示す資料の提出が必要になることもあります。例えば、フリーランスや個人事業主の方であれば、過去数年の収入実績や取引先との契約状況などを通じて、今後も安定した収入が見込めることを証明する必要があるでしょう。

借金総額については、住宅ローンを除いた「無担保債務」が5,000万円以下であることが条件です。この金額には、クレジットカードのキャッシング、消費者金融からの借入れ、銀行カードローン、友人知人からの借金なども含まれます。住宅ローンが除外されるのは、後ほど説明する「住宅ローン特則」という制度があるためです。

もし債務の総額が5,000万円を超える場合は、個人再生ではなく自己破産を検討することになるでしょう。また、債務額が少額すぎる場合も、個人再生のメリットが少なくなることがあります。なぜなら、個人再生では最低弁済額として100万円という金額が設定されているため、債務総額が100万円程度の場合は減額効果がほとんど得られないからです。

収入と支出のバランスも、重要な審査要素です。家計収支を詳しく検討し、再生計画に基づく返済を継続できる見込みがあることを裁判所に示す必要があります。家族の生活費、住居費、教育費などの必要最小限の支出を考慮した上で、返済に充てられる金額を現実的に算出することが求められるでしょう。

住宅ローン特則利用時の追加条件

住宅ローン特則(住宅資金貸付債権に関する特則)は、個人再生の大きなメリットの一つです。しかし、この制度を利用するには、通常の個人再生の条件に加え、さらに厳格な要件を満たす必要があるのです。

まず、対象となる住宅には明確な定義があります。債務者本人が所有し、現在住んでいる建物であることが基本条件です。別荘やセカンドハウス、投資用不動産は対象外です。また、建物の床面積が3,000平方メートル以下であることも要件の一つ。マンションの場合は専有部分の面積で判断されます。

住宅ローンの内容にも詳細な条件があります。住宅の建設・購入資金、またはリフォーム資金として借り入れた債務であることが条件で、事業性の融資や投資目的の借入れは対象外です。さらに、住宅に抵当権などの担保権が設定されていることが前提で、無担保の住宅関連融資は住宅ローン特則の対象にはなりません。

また、住宅ローン以外の債権者による担保権が、住宅に設定されていないことが条件です。例えば、住宅を担保に事業資金を借り入れている場合や、他人の連帯保証のために住宅に抵当権が設定されている場合は、住宅ローン特則を利用できません。これは、住宅を維持することの実効性を確保するための重要な要件なのです。

住宅ローンの返済状況も審査の対象です。個人再生の申立前に住宅ローンの滞納があり、「一括返済を求められること(期限の利益を喪失)」の状態であっても、住宅ローン特則の利用は可能です。ただし、その場合は「巻き戻し条項」を活用して延滞を解消する必要があります。さらに、代位弁済が実行されてから6ヶ月が経過していると、住宅ローン特則を利用できなくなるため、申し立てのタイミングが非常に重要になります。

任意整理から個人再生への切り替え手続きと必要書類

任意整理による債務整理の後、返済を始めたものの、思ったように進まず「個人再生に変更したい」と考えることもあるかもしれません。ここでは、任意整理から個人再生に実際に切り替える場合の手続きについて解説します。

切り替え手続きの流れと全体スケジュール

任意整理から個人再生への切り替えは、現在の手続き状況によって大きく2つのパターンに分かれます。まず、任意整理の和解がまだ成立していない段階であれば、比較的スムーズに移行できるケースが多いでしょう。

任意整理中の切り替えスケジュール(約4〜6ヶ月)

1.専門家へ相談・方針決定(約1週間):現在の交渉状況を整理し、個人再生への変更が適切か判断します。
2.債権者への通知(約1〜2週間):任意整理の交渉を一旦停止し、個人再生の準備に入る旨を各債権者に連絡します。
3.必要書類の収集(約2〜4週間):家計や財産状況を詳細に調査し、個人再生に必要な書類を揃えます。
4.個人再生申立て(約1日):裁判所へ申し立てを行います。
5.開始決定から認可決定まで(約4ヶ月):裁判所での審査期間となります。

一方、任意整理の和解が既に成立し、返済を始めている場合は、現在の返済状況が「履行テスト期間」として考慮されます。例えば、月3万円の任意整理での返済が困難で、個人再生により月1.5万円程度に圧縮できる見込みがあるなら、裁判所はその経済合理性を評価材料としてくれるでしょう。

任意整理後の切り替えスケジュール(約5〜7ヶ月)

任意整理後に切り替える場合は、返済不能に至った経緯を詳細に説明する必要があるため、書類準備に時間がかかります。特に「なぜ任意整理では解決できなかったのか」という点について、収入減少や支出増加の具体的な証拠書類(給与明細、医療費領収書、家族の状況変化を示す書類など)を丁寧に揃える必要があります。

必要な書類とその準備

個人再生への切り替えに必要な書類は多岐にわたりますが、任意整理からの移行という特殊な事情を踏まえ、追加で必要となる書類もありますので注意しましょう。

基本的な必要書類

・申立書および添付書類一式
・住民票、戸籍謄本(3ヶ月以内発行のもの)
・給与明細書(直近3ヶ月分)、源泉徴収票(直近2年分)
・預貯金通帳のコピー(全ページ、直近2年分)
・保険証券、解約返戻金証明書
・不動産登記簿謄本(所有している場合)
・住宅ローン契約書、返済予定表(住宅ローン特則を利用する場合)

任意整理からの切り替え特有の追加書類

1.任意整理関連書類:和解契約書、返済実績を示す振込明細や通帳記録、債権者との交渉経緯がわかるメール・文書
2.返済困難に至った経緯書類:収入減少を証明する書類(会社の業績悪化を示す資料、残業時間の変化など)、支出増加の証明書類(医療費、介護費用、教育費など)
3.家計収支の変化を示す書類:任意整理開始時と現在の家計簿比較、生活状況の変化を客観的に示す資料

書類については、任意整理時に作成した資料があれば、それを土台として現在の状況との変化を明確にすることです。例えば、任意整理時の月収が25万円だったのが、現在の月収が20万円に減った5万円の差額について、会社の給与体系変更や業績悪化など、具体的な理由を証明できる書類を添付するようにしましょう。

任意整理中・任意整理後それぞれの切り替え方法

任意整理中の切り替え方法

任意整理の和解が成立する前であれば、債権者との交渉を一旦停止し、個人再生の手続きへ移行することが可能です。この場合、債権者にとっても「より確実な回収方法」として個人再生が受け入れられやすい傾向にあるでしょう。

実務的な流れとしては、まず受任通知を送付している弁護士・司法書士が、各債権者へ「手続き変更通知書」を送付します。この通知には、個人再生への移行理由(収入状況の変化、債務総額の確定、返済能力の再評価など)を具体的に記載するのが一般的です。

重要なポイントは、任意整理中の切り替えであっても、債権者からの督促は停止したまま、という点です。受任通知の効力は個人再生の申し立てまで継続されますので、債務者の方にとっては精神的な負担が軽減された状態で手続きを進められるでしょう。

任意整理後の切り替え方法

既に任意整理の和解が成立し、返済を開始している場合の切り替えは、より慎重な準備が必要になります。裁判所は「なぜ一度合意した返済計画が履行できないのか」という点を厳しく審査するためです。

成功のカギは、返済不能に至った事情が「やむを得ない事情」であることを客観的に証明することです。例えば、コロナ禍での収入減少、家族の病気による医療費増加、リストラや会社の業績悪化による給与削減などが該当するでしょう。単に「生活が苦しい」というだけでは不十分で、具体的な数字と証拠書類による裏付けが求められます。

また、任意整理後の切り替えでは「誠実性」も重要な判断要素となります。例えば、任意整理での返済を3ヶ月継続していた後に収入が大幅に減少した、という場合。最初の3ヶ月の返済実績が「支払い意思がある」ことの証明となり、個人再生での再生計画の履行可能性を裏付ける材料にもなるでしょう。

個人再生にかかる費用内訳と相場

個人再生を行う際の費用は、主に裁判所費用と弁護士・司法書士への報酬に分かれます。まずは裁判所関連の費用から見ていきましょう。

申し立て手数料として収入印紙代が1万円、官報公告費として約1万4,000円、予納郵券代(切手代)として約1,600円程度が必要です。これらは全国共通の基本的な費用となります。

ただし、個人再生委員が選任される場合は、追加で15万円から25万円程度の報酬を納めなければなりません。東京地方裁判所では弁護士が代理人として就いている場合、個人再生委員の選任が省略されることが多いですが、他の地域では選任される可能性が高いので注意が必要です。

弁護士に依頼する場合の報酬相場は、住宅ローン特則を利用しない「小規模個人再生」で30万円から50万円程度、「住宅ローン特則」を利用する「給与所得者等再生」では40万円から60万円程度が一般的です。司法書士の場合は書類作成業務のみとなるため、20万円から35万円程度と比較的安価になる傾向があります。

ここで注意したいのは、司法書士は代理人として法廷に立つことができない、という点です。申立書の作成はできますが、実際の手続きや裁判官との面談はご本人が行わなければなりません。法的な知識に不安がある方や、確実に手続きを進めたい方は、費用は高くなりますが弁護士への依頼を検討しましょう。

まとめ

任意整理から個人再生への手続きを切り替える、そのタイミングを見極めるには、現在の返済状況と将来の見通しを冷静に分析することが重要です。月収に対する返済比率が3割を超えている状態が3ヶ月以上続く場合や、他の債務整理方法では根本的な解決が難しいと判断される状況では、切り替えを検討する適切なタイミングと言えるでしょう。

専門家を選ぶ際には、債務整理の実績と経験を重視してください。年間100件以上の債務整理案件を扱っている弁護士や司法書士なら、様々なケースに対応した豊富な知識があるでしょう。また、初回相談で具体的な解決策を複数提示してくれる専門家は、あなたの状況を的確に把握している証拠でもあります。費用面では、着手金・成功報酬・実費の内訳を明確に説明してくれる事務所を選ぶことで、後々のトラブルを避けられます。

借金問題には必ず解決への道筋があります。任意整理、個人再生、自己破産といった債務整理の方法はそれぞれ異なる特徴を持っていますから、あなたの収入状況や借金額、生活環境に応じて最適な選択肢が必ず見つかるはずです。重要なのは、現在の状況を正確に把握し、将来を見据えた現実的な計画を立てることです。

多くの法律事務所では初回相談を無料で行っていますし、相談したからといって必ず契約しなければならないわけではありません。まずは現在の状況を整理し、どのような選択肢があるのかを確認することから始めてみましょう。

債務整理実績1万5821(2019年4月調べ)

その実績が認められ、日経産業新聞に掲載されました。(2012年4月27日)

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債務整理とは、債務者が多額の借金を抱えた場合、多重債務に陥ってしまった場合に、借金を確実に返済することです。債務整理とひとくちに言っても、任意整理・個人民事再生・自己破産・過払い請求・特定調停と、その方法は様々。お客様の借金の総額や取引年数、現在の収入資産などに応じて最適な解決方法をご提案いたします。

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