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任意整理(債務整理)必要書類とは?書類の準備と借金相談の手続きの方法を解説

Last Updated on 2025年12月26日 by 監修者:司法書士 藤田太

毎月の返済に追われ、「このままだと生活が立ち行かない……」と一人で悩んでいませんか?借金問題を解決する手段の一つである任意整理は、家族や職場に知られにくく、将来の利息をカットして生活を立て直せる有効な方法です。

しかし、いざ専門家に相談しようと思っても、「何を持っていけばいいの?」「手続きはどれくらい複雑なの?」と不安を感じて足が止まってしまう方も少なくありません。

この記事では、任意整理をスムーズに進めるために必要な書類と、相談から解決までの具体的な流れについて解説します。ぜひ手続きの参考にしてください。

任意整理(債務整理)の必要書類とは?手続きの流れとともに解説

任意整理をスムーズに進めるには、適切なタイミングで必要な書類を揃えることが第一歩です。しかし、最初から完璧を目指す必要はありません。ここでは、任意整理の手続きの流れに沿って、どのような書類が必要になるのか、具体的に解説します。

【STEP1】専門家への相談・面談時に必要な3つの必須書類

任意整理を検討し始めたとき、最初に考えるのが「弁護士や司法書士への相談」です。この段階では、専門家があなたの借金の全体像を把握するために、最低限の情報が求められます。初回相談で完璧な書類を揃える必要はありません。まずは以下の3点を手元に用意することで、相談がスムーズに進みます。

①借入先のリスト(手書きメモでも可)

まず必要なのは、あなたが現在借りているすべての借入先とその情報です。消費者金融・クレジットカード会社・銀行カードローンなど、すべての債権者(お金を貸している会社)を把握しなければ、正確な状況判断ができません。このリストには「会社名」「おおよその借入額」「いつ頃から借りているか」「毎月の返済額」など、覚えている範囲で構いませんので記載してください。

たとえば「A社 約50万円 2019年〜 月2万円返済」といった簡単な情報でも、専門家にとっては十分に参考になります。後日、正式な契約書や取引履歴を提出する際に詳細を詰めていけば問題ありません。もし複数の会社から借りていて整理がつかない場合でも、思い出せる限りの情報をメモにして持参すれば大丈夫です。

②本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)

弁護士や司法書士は、法律上、本人確認を行う義務があります。そのため、相談時には必ず身分証明書が必要です。運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真つきの公的身分証明書があれば最も確実でしょう。もし顔写真つきの証明書がない場合は、健康保険証とパスポート、あるいは住民票などを組み合わせることで対応可能なケースもあります。

本人確認書類は、手続き全体を通じて複数回コピーを取ることがあります。そのため、できれば原本を持参してください。また、住所や氏名が変わっている場合は、裏面記載も忘れずに確認しましょう。面談時にコピーが必要かどうかは事務所によって異なりますが、多くの場合その場で確認・コピーを取り、原本はその日のうちに返却されます。

③印鑑(認印でOK)

契約書類や委任状にサインするとき、印鑑が必要になる場合があります。実印や印鑑証明書が求められることはなく、認印(シャチハタ以外の三文判)で構いません。専門家によっては「サイン(署名)のみでOK」という対応もありますが、念のため持参しておくと安心です。

面談時には、今後の手続きの流れや費用についての説明を受け、その場で受任契約を結ぶこともあります。その際、委任状や契約書に捺印を求められる可能性がありますので、印鑑は必携品と考えておくと良いでしょう。もし忘れてしまった場合でも、後日郵送などで対応できることが多いので、焦る必要はありません。

これら3つの書類・情報があれば、初回相談はスムーズに進められます。完璧を目指して準備に時間をかけるよりも、まずは「今できる範囲で情報をまとめる」ことが大切です。

【STEP2】受任契約後に提出する書類の詳細

弁護士または司法書士と正式に契約を結んだあと(これを「受任」といいます)、次の段階では、あなたの収入・支出・財産状況などを詳細に把握するための書類が必要になります。任意整理では「返済能力に応じた現実的な和解案」を作成するため、専門家はあなたの生活実態を正確に把握しなければなりません。

この段階で求められる書類は、一般的に以下のようなものです。ただし、事務所によって指示内容が異なる場合があるため、受任時に渡されるチェックリストを基準にしてください。

①給与明細書(直近2〜3か月分)

会社員や契約社員など給与所得者の場合、給与明細書の提出が求められます。給与明細を捨ててしまった方もいるかもしれませんが、会社の経理部門や総務部門に依頼すれば再発行してもらえることがほとんどです。手元にない場合は、早めに勤務先へ相談してみましょう。

給与明細からは、毎月の手取り収入・税金や社会保険料の控除額・通勤手当などの内訳が読み取れます。これをもとに、専門家は「毎月いくらまでなら返済可能か」を判断し、債権者との交渉材料にします。たとえば手取り月収18万円で生活費が15万円かかるなら、「月3万円程度なら現実的に返済できる」と計算できるようになります。

②源泉徴収票(年収確認用)

年収全体を把握するために、前年度の源泉徴収票の提出を求められることがあります。給与明細だけでは「月ごとの収入のブレ」や「年間の総収入」が見えにくいため、源泉徴収票で補完します。とくに年末調整を受けている会社員であれば、12月末〜1月頃に会社から発行されているはずです。

もし紛失してしまった場合は、勤務先の経理部門に再発行を依頼してください。源泉徴収票は法律上、会社側に発行義務があるため、基本的に断られることはありません。また、退職した直後で手元にない場合も、前職の会社に連絡すれば対応してもらえます。

③通帳のコピー(過去3〜6か月分)

銀行口座の取引履歴を提出することで、「毎月の入出金の流れ」を可視化します。通帳のコピーは、給与の入金状況・固定費の支払い・カードローンやクレジットの引き落とし額などを確認するための重要な資料です。複数の口座を持っている場合は、すべての口座のコピーを求められることもあります。

もしネット銀行を使っていて紙の通帳がない場合は、インターネットバンキングから「取引明細」や「入出金履歴」をPDF形式でダウンロードし、印刷して提出すれば問題ありません。ATMで記帳できる口座であれば、直近の記帳を済ませてからコピーを取りましょう。通帳がない・記帳してない場合でも、銀行窓口で「取引明細証明書」を発行してもらえます(有料の場合あり)。

④家計収支表

「毎月の収入と支出をまとめた一覧表」のことです。専門家が用意してくれるテンプレートに、食費・光熱費・通信費・家賃・交通費などの項目を記入していきます。家計収支表は、あなたの「実際の生活費」を見える化し、どれだけの余力があるかを判断するための基礎資料です。

ここで大切なのは、正直に、現実的な金額を記載することです。見栄を張って支出を少なく書いたり、逆に大げさに書いたりしても、後で矛盾が生じて和解交渉に支障をきたす可能性があります。たとえば「食費は月5万円かかっている」という現実があるなら、そのまま記載して構いません。専門家は、その金額が妥当かどうかを判断し、必要に応じてアドバイスをくれます。

⑤クレジットカードや借入の契約書・利用明細

各債権者との契約内容を確認するため、クレジットカードの契約書や利用明細、ローンの契約書などがあれば提出しましょう。もし紛失している場合でも、多くの金融機関では会員ページから「契約内容の確認」や「利用明細のダウンロード」ができますので、そちらを活用してください。

また、契約書がなくても受任通知を送った段階で、債権者側から「取引履歴」や「残高証明書」が送られてくるため、最終的には正確な情報を集めることが可能です。初期段階で手元にある範囲で提出すれば、専門家が不足分を補いながら進めてくれます。

これらの書類は、任意整理の「返済計画の土台」を作るために欠かせないものです。最初は「こんなに必要なの?」と感じるかもしれませんが、一つひとつ揃えていく過程で、自分自身の生活状況が整理され、見えてくるものもあります。

【STEP3】債務調査・和解交渉時の追加必要書類

受任通知が債権者に送られたあと、専門家は各債権者から「取引履歴」を取り寄せ、正確な債務額や利息の計算を行います。この段階を「債務調査」と呼びます。ここで、追加の書類提出を求められることがあります。

①債権者からの取引履歴・残高証明書

債権者(貸金業者やクレジットカード会社など)は、受任通知を受け取ると、法律に基づいて「取引履歴」を開示する義務があります。この取引履歴には、過去の借入日・返済日・利息の計算根拠などがすべて記載されています。専門家はこれを精査し、「利息制限法」を超える利息がないか、過払い金が発生していないかをチェックします。

もし過去に高い利息で返済していた場合、引き直し計算を行うことで元本が減額される可能性もあります。この計算結果をもとに、債権者との和解交渉が始まります。取引履歴自体は債権者が送ってくるため、あなたが自分で用意する必要はありませんが、もし手元に過去の契約書や返済記録が残っている場合は、照合のために提出すると良いでしょう。

②和解案作成のための追加収入証明(必要に応じて)

和解交渉の過程で、「この返済額なら無理なく払える」という根拠を示すため、追加の収入証明や家計状況の更新を求められることがあります。たとえば、受任時から数か月が経過していて、収入状況に変化があった場合などです。

新たに給与明細を提出したり、家計収支表を更新したりすることで、「現在の生活実態に即した和解案」を提示できます。また、債権者側が「本当にこの金額で返済できるのか?」と疑問を持った場合にも、最新の証拠資料を提出することで、交渉がスムーズに進むことがあります。

③状況が変わった場合の再提出資料

もし受任後に転職・退職・結婚・出産など、生活状況に大きな変化があった場合は、専門家に速やかに報告してください。たとえば正社員から契約社員になった、収入が減った、扶養家族が増えたといった変化があると、返済能力の見直しが必要になります。

その際、新しい給与明細や雇用契約書、家族構成の変更を示す書類(住民票など)を追加提出することがあります。変化を隠してしまうと、和解後に「支払えない」という事態に陥るリスクがあるため、正直に報告することが結果的にあなた自身を守ることにつながります。

債務調査と和解交渉の段階では、「証拠を積み重ねる作業」が続きます。専門家は、債権者と対等に交渉するために、あなたの状況を数字と書類で裏付けながら進めます。この段階で必要になる書類は、すべて「あなたの生活を守るため」のものです。面倒に感じることもあるかもしれませんが、一つひとつ丁寧に揃えることが、より良い和解条件に繋がります。

【STEP4】あなたの状況別で変わる追加書類(無職・複数借入・家族名義等)

任意整理は、借入の状況や生活環境によって必要な書類が変わることがあります。ここでは、よくあるケース別に、どのような追加書類が求められるかを整理してみましょう。

①無職・求職中の場合

現在無職で収入がない、または求職活動中という場合でも、任意整理を諦める必要はありません。ただし、収入がないことを証明するために、「雇用保険の受給証明書(失業保険をもらっている場合)」「ハローワークの求職受付票」「離職票」などを提出することがあります。

また、家族の援助で生活している場合は、援助してくれている家族の収入証明や、家計を支えている人の状況を説明する書類が必要になることもあります。無職であっても、「今後どのように収入を得る予定か」「生活をどう立て直すか」といった見通しを専門家と共有することで、現実的な和解条件を考えることができます。

②複数の債権者から借入がある場合

消費者金融・クレジットカード・銀行カードローンなど、複数の債権者から借りている場合は、すべての借入先の情報を正確に整理する必要があります。この場合、各債権者ごとに「契約書」「利用明細」「取引履歴」を揃えることになりますが、受任通知を送った段階で債権者側から送られてくるため、最初から完璧に揃えなくても大丈夫です。

ただし、もし「どの会社から借りたか思い出せない」「何件あるか分からない」という状態であれば、前述した信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)に「信用情報の開示請求」を行うことで、すべての借入状況を確認できます。開示請求は自分で行えますし、専門家がサポートしてくれる場合もあります。

③家族名義の借入や連帯保証人がいる場合

もし配偶者や親の名義で借入をしている場合、または誰かがあなたの借金の連帯保証人になっている場合は、その事実を専門家に伝える必要があります。任意整理では、家族や保証人に影響を与えずに進められるケースもありますが、状況によっては家族への影響が避けられません。

この場合、家族の収入証明書や同意書、保証契約の内容が分かる書類などを提出することで、リスクを正確に把握し、適切な対応を検討します。家族名義のクレジットカードを使っている場合も、利用実態を明らかにするために、明細や契約書を提出することがあります。

④自営業・フリーランスの場合

会社員と異なり、自営業やフリーランスの場合は収入が不安定なことが多いため、「確定申告書(直近1〜2年分)」や「納税証明書」「事業の収支がわかる帳簿」などを提出することが一般的です。また、事業用の口座と生活費の口座が混在している場合は、それぞれの入出金を整理して説明する必要があります。

自営業者の場合、「今年は収入が落ち込んでいる」「来月から新しい契約が始まる」といった見通しも重要な情報になります。専門家は、そうした将来の見込みも考慮しながら、無理のない返済計画を一緒に考えてくれます。

⑤病気や障害を抱えている場合

病気療養中や障害がある場合は、医療費や介護費用などの特別な支出が発生することがあります。この場合、「診断書」や「医療費の領収書」「障害者手帳」「介護保険の証明書」などを提出することで、生活実態をより正確に伝えることができます。

また、障害年金や傷病手当金を受給している場合は、その受給証明書も収入証明として使えます。病気や障害による生活の困難さを専門家が理解することで、債権者との交渉でも配慮を引き出しやすくなるでしょう。

これらの「状況別の追加書類」は、あくまで必要に応じて求められるものであり、すべての人に当てはまるわけではありません。大切なのは、自分の状況を隠さず、専門家に正直に伝えることです。専門家は、あなたの状況を理解したうえで、「何が必要で、何が不要か」を的確に判断してくれます。

必要書類が準備できない時の対処法

借金問題を解決しようと思っても、いざ専門家への相談を前にすると「契約書はどこにしまったっけ?」「そもそもどこから借りてたか覚えていない……」と頭を抱えてしまう方が、実際にはとても多いものです。生活に追われているうちに書類が散らばってしまったり、引っ越しのタイミングで紛失してしまったりするのは、決して珍しいことではありません。書類がない状態でも前に進めるよう、ここでは具体的な調査手順や代替手段などの方法について解説します。

借入先や契約内容がわからない場合の調査手順

「返済は続けているけれど、どこから借りたのか正確にはわからない……」「取引先が複数あって、どの会社にいくら借りているのか曖昧になっている……」こうした状況は、実は債務整理の相談でよく見られるものです。

まず最初にできることは、過去の通帳記録を確認することです。毎月の引き落としや振込先が記録されていれば、どの金融機関・貸金業者と取引があったかを特定できる可能性があります。通帳がすでに記帳されずに捨ててしまった場合でも、銀行窓口やATMで「過去の取引履歴」として再発行してもらえることがあります。期間は金融機関によって異なりますが、数年分の履歴であれば取得できることが多いはずです。

次に活用したいのが信用情報機関への開示請求です。日本には以下の三つの信用情報機関があり、あなたがどこから借入をしているか、またどれだけの債務があるかという情報が記録されています。

信用情報機関名主に扱う情報
CIC(株式会社シー・アイ・シー)クレジットカード会社・信販会社の情報
JICC(株式会社日本信用情報機構)消費者金融の情報
KSC(全国銀行個人信用情報センター)銀行・信用金庫の情報

 

これらの機関に対して、郵送・窓口・インターネット(一部機関)などで本人開示請求を行うことができます。手数料は1機関あたり500円〜1,000円程度で、身分証明書のコピーと申請書を提出すれば、自分の信用情報を確認できます。ここには、借入先の名称・借入金額・返済状況・延滞履歴などが記載されているため、これを利用して「記憶があいまいな借入先」をきちんと把握しましょう。

また、郵便物やメールの履歴を見返してみるのも有効です。催促のハガキや明細書、年末調整の書類、さらにはスマホに届いた通知メールなどから、取引先の名前や連絡先が判明することがあります。とくに最近は、消費者金融やクレジットカード会社からのお知らせがメールで届くことが多いので、受信トレイや迷惑メールフォルダも確認してみましょう。

もし自分で情報を集めるのが不安であれば、弁護士や司法書士に先に相談してしまうという方法もあります。専門家は受任後、各金融機関に対して「受任通知」を送付し、その際に取引履歴の開示請求を行います。もし、あなたが曖昧にしか覚えていなくても、専門家が依頼を受けた時点で正確な債務状況を調べてくれるはずです。この点でも、早めの相談には大きなメリットがあります。

収入証明書・身分証明書がない時の代替方法

債務整理の手続きでは、本人確認書類(身分証明書)と収入を証明できる書類の提出が求められることが一般的です。ただし、これらの書類が手元にない、あるいは紛失してしまったという場合でも、代替手段や再取得の方法が用意されています。

身分証明書が手元にない場合

まず、最も使われるのは運転免許証やマイナンバーカードです。これらは顔写真付きで本人確認がしやすいため、弁護士や裁判所でも広く受け入れられています。もし免許証を紛失してしまった場合は、運転免許センターや警察署で再交付手続きができます。即日対応してくれる場合もあるため、早めに動けば数日以内に手元に届きます。

マイナンバーカードを持っていない、あるいは紛失した場合は、市区町村の窓口で再交付申請が可能です。ただし、マイナンバーカードの再発行には数週間かかることがあるため、急ぎの場合は住民票や健康保険証などを代わりに使うことを検討しましょう。

健康保険証は顔写真がついていないため、これ単体では本人確認が不十分とされる場合があります。そのときは、住民票の写しや戸籍謄本、公共料金の領収書(住所確認用)を組み合わせて提示することで、補完的に本人確認を行うことができます。また、パスポートを持っている場合は、こちらも有効な身分証明書として活用できます。

収入証明書が用意できない場合

収入証明書としては、給与明細(直近2〜3か月分)や源泉徴収票、確定申告書の控え、課税証明書(住民税の決定通知書)などが代表的です。しかし、これらを紛失してしまった場合や、非正規雇用・日雇いで明細がもらえない場合もあります。

給与明細を紛失した場合は、勤務先の経理担当者に依頼して再発行してもらうことができます。給与明細の再発行は法的に義務づけられているわけではありませんが、多くの会社では対応してくれます。もし再発行が難しい場合は、給与振込が記録されている通帳のコピーを代替資料として提出する方法もあります。これは「毎月どの程度の収入があるか」を証明するための補完資料としても有効です。

自営業やフリーランスの方の場合は、確定申告書の控えが最も有力な証明書類です。控えを失くしてしまった場合は、税務署で納税証明書や所得証明書を発行してもらうことができます。これは税務署の窓口またはe-Taxで申請可能で、手数料は数百円程度です。

また、市区町村役場で発行される課税証明書(所得証明書)も有効です。これは前年の所得を証明する公的書類で、発行手数料は300円程度が一般的です。即日発行に対応している自治体も多いため、急ぎの場合にはとても便利です。

さらに、収入がまったく証明できない場合でも、債務整理の手続き自体が不可能になるわけではありません。たとえば自己破産の申立てでは、「収入がない」または「収入が極めて不安定である」という状態そのものが、支払い不能の根拠として考慮されます。専門家に正直に事情を伝えることで、状況に応じた対応を一緒に考えてもらえますので、まずは相談してみることが大切です。

紛失した書類を無料で再取得する具体的手順

債務整理を進めるうえで必要な書類を紛失してしまった場合でも、多くの書類は公的機関や取引先から無料または低額で再取得できます。ここでは、実際によく再取得が必要になる書類について、その手順を具体的にご紹介します。

1.借入契約書・取引履歴の再取得

契約書を紛失してしまった場合、まずは借入先の金融機関や貸金業者に直接問い合わせをしてみましょう。多くの業者は、契約者本人からの依頼であれば取引履歴(借入・返済の記録)を無料で開示してくれます。これは貸金業法に基づく情報開示義務の一環として行われているため、拒否されることはほとんどありません。


電話やメール、または専用のWebフォームから依頼できる業者もあります。本人確認のため、氏名・生年月日・住所・電話番号・契約時の情報(契約番号や取引開始時期など)を聞かれることがありますので、手元にある情報をできる限り整理しておくとスムーズです。


開示までの期間は業者によって異なりますが、1週間から2週間程度で郵送されてくることが一般的です。急ぎの場合は、その旨を伝えることで対応を早めてくれる場合もあります。

2.住民票・戸籍謄本の取得

本人確認や住所の証明が必要な場合、住民票や戸籍謄本は市区町村の窓口で簡単に取得できます。住民票は1通300円程度、戸籍謄本は450円程度が一般的です。本人確認書類(保険証や免許証など)を持参すれば即日交付されます。
また、マイナンバーカードを持っている場合は、コンビニエンスストアのマルチコピー機を使って住民票を発行することも可能です(自治体により対応状況が異なります)。手数料も窓口より安い場合があるため、時間がないときには便利です。

3.課税証明書・所得証明書の取得

収入を証明するための課税証明書や所得証明書も、市区町村の窓口で発行してもらえます。こちらも1通300円程度で、本人確認書類を持参すれば即日対応してもらえることが多いです。

前年の所得が反映されるため、1月〜5月頃に申請する場合は前々年の情報しか取得できない場合があります。その点だけ注意しましょう。また、郵送請求や代理人による申請も可能ですので、平日に窓口に行けない方でも対応できます。

4.給与明細・源泉徴収票の再発行

勤務先で発行される給与明細や源泉徴収票を紛失した場合は、会社の経理担当者に連絡して再発行を依頼しましょう。源泉徴収票については、所得税法により再発行義務があるため、基本的には断られることはありません。

給与明細については法的義務がないため対応がまちまちですが、多くの企業では保管されている過去のデータをもとに再発行してくれます。もし再発行が難しい場合は、給与振込履歴のある通帳コピーや、雇用契約書などで代替することも検討できます。

5.通帳の取引履歴(入出金明細)

銀行口座の通帳を紛失した、あるいは記帳しないまま廃棄してしまった場合でも、銀行窓口で過去の取引明細を発行してもらうことができます。期間や件数によっては手数料がかかる場合もありますが、直近数か月分であれば無料で対応してくれる銀行もあります。

また、インターネットバンキングを利用している場合は、Web上で過去の入出金履歴をPDFやCSVでダウンロードできることもありますので、まずはログインして確認してみましょう。

任意整理を成功させるための注意点とコツ

任意整理は書類の準備だけでなく、その後の行動や姿勢が結果を大きく左右します。せっかく手続きをしたのですから、最後まで安心して進められるように、ここでは成功させるためのポイントや注意点について解説します。

書類提出後から和解成立までの期間と流れ

弁護士や司法書士に必要書類を提出した後、実際に和解が成立するまでには通常3〜6ヶ月程度の時間がかかります。この期間は債権者との交渉状況や案件の複雑さによって変動しますが、まずは大まかな流れと基本を知っておきましょう。

まず、書類を受け取った専門家は、あなたの収入・支出・借入総額などを精査し、返済計画案を作成します。この段階では、「月々いくらなら無理なく返せるか」という現実的なラインを見極めるため、場合によっては追加で家計の状況を確認されることもあります。その後、債権者(貸金業者やクレジットカード会社など)に対して「受任通知」という書面を送付します。この通知が届いた時点で、債権者からの直接の取り立てや督促の電話は、法的に禁止されているために止まるはずです。

受任通知送付後、専門家は各債権者に対して取引履歴の開示を請求し、過去の借入・返済の記録を細かくチェックします。この作業には数週間かかることもあり、特に長期間取引がある場合や複数の業者が絡んでいる場合は時間を要します。取引履歴をもとに利息制限法に基づいた引き直し計算を行い、過払い金が発生していないか、正確な残債務額はいくらなのかを確定させます。

その後、専門家は債権者ごとに個別に交渉を開始します。交渉内容は主に「将来利息のカット」「分割回数の延長」「遅延損害金の減免」などです。債権者によっては柔軟に応じてくれるところもあれば、厳しい条件を提示してくるところもあります。たとえば、大手消費者金融は比較的交渉に応じやすい傾向がありますが、一部の信販会社やカード会社では和解条件が厳しくなるケースもあります。この交渉期間が全体のスケジュールを左右する最大の要因なのです。

すべての債権者との間で条件が合意に達すると、和解契約書が作成されます。この書面には、新しい返済額・返済回数・返済開始日などが明記されており、双方がサインをすることで正式に和解成立となります。和解成立後は、原則として合意内容に沿って毎月決まった額を返済していくことになります。この段階まで来れば、ようやく「新しいスタート」を切ることができるわけです。

なお、専門家に依頼した場合、この期間中はあなた自身が直接債権者と連絡を取る必要は一切ありません。すべて専門家が窓口となって対応してくれますので、余計な心配をせず、日常生活を落ち着いて過ごすことが大切です。ただし、専門家から連絡があった際には速やかに対応し、追加書類の提出や状況確認には誠実に応じるようにしましょう。

手続き中に絶対やってはいけない3つのこと

任意整理は、あなたと債権者との間に専門家が入って丁寧に調整を進める手続きです。そのため、手続き中のあなた自身の行動が、交渉の結果や今後の生活再建に大きな影響を与えることがあります。ここでは、絶対に避けるべき3つの行動を具体的に解説します。

1.新たな借入をしてしまう

任意整理の手続き中に、別の業者から新たに借金をする行為は、絶対に避けるべきです。法律上、任意整理中に借入を行うこと自体がただちに違法となるわけではありませんが、実務上は重大な問題行為として扱われます。弁護士や司法書士が作成した返済計画は、あなたの現状の収支をもとに「無理なく返済できる」ことを前提に設計されています。新しい借入を行うと、この前提が崩れ、債権者からの信頼を損なうだけでなく、和解交渉そのものが破談になるおそれがあります。

任意整理の受任通知が発送されると、その情報は各債権者や信用情報機関に通知され、やがて信用情報に「債務整理」等の記録が登録されることになります。これにより、銀行や消費者金融などの正規の貸金業者では、新規の融資審査を通過することがまず困難になります。

このような状況で資金繰りに困り、いわゆる闇金やソフト闇金と呼ばれる違法業者から借入を行ってしまうと、極めて危険です。これらの業者は貸金業登録を行っていない違法業者であり、法定利息(利息制限法・出資法の上限)を大きく超える違法な金利を要求し、返済が滞ると暴力的または脅迫的な取立てを行うこともあります。結果として任意整理の努力が台無しになるどころか、さらに深刻な被害に発展するおそれがあります。

生活費などでどうしても資金が必要な場合は、自己判断で借入を増やす前に、必ず担当の弁護士や司法書士に相談してください。状況に応じて、家計の見直し支援や生活保護など、合法的な支援策を検討してもらえる場合もあります。

2.一部の債権者だけに返済してしまう

任意整理は、個人再生や自己破産とは異なり、すべての債権者を対象としなければならない手続ではなく、一部の債権者との間のみ手続きを行うことも法的には可能です。 しかし、前提としては債権者間の公平をできる限り保つことは重要であり、実務上も原則として全債権者を対象とする運用が多く採られています。

実際には、「特定の業者には迷惑をかけたくない」「親族が保証人になっている債務だけは優先して払いたい」といった事情から、任意整理の対象外とした債権者や一部の債権者に対してのみ返済を継続してしまうケースも見受けられます。 このような行為は、それだけで直ちに違法行為と評価されるわけではありませんが、債権者間の公平を害するおそれがあるため、「偏った返済(偏頗弁済)」として問題視されやすい行動です。

とくに任意整理の交渉中に一部の債権者だけを優遇すると、

・他の債権者から「不公平だ」と反発される可能性がある。
・利息カットや分割返済など有利な条件の交渉が難航しやすくなる。
・債権者によっては、和解そのものへの応諾を拒まれるおそれがある。

といった実務上の不利益が生じるリスクを否定できません。

また、将来的に個人再生や自己破産へ手続きを切り替える場合には、支払不能状態に陥った後に特定の債権者だけを優先して返済していた行為が、「偏頗弁済」として破産管財人から否認の対象とされたり、破産法上の免責不許可事由として問題とされたりする可能性があります。 その結果、

・偏頗弁済と評価された支払について、受領した債権者に返還が求められる場合がある(否認権行使の対象となる)。
・特定の債権者に特別の利益を与える目的などが認定されると、免責決定において不利に考慮されるおそれがある。

といった法的な不利益が生じる点にも注意が必要です。

感情的には難しい判断に思えるかもしれませんが、どの債権者に対する返済や支払いを継続するか、または一時的に中止するかといった点については、自己判断で動いてしまうと偏頗弁済と評価されるリスクが高くなってしまいます。そのため 必ず、依頼している弁護士や司法書士などの専門家の指示・助言に従って対応することが大切です。

3.専門家からの連絡を無視する

手続き中、弁護士や司法書士から追加書類の提出依頼や現状確認の連絡が来ることがあります。このとき、「忙しいから後で」「面倒だから放置しよう」と対応を後回しにするのは非常に危険です。専門家はあなたの代理人として債権者と交渉を進めていますが、必要な情報が揃わなければ交渉を先に進めることができません。連絡を無視し続けると、最悪の場合、専門家が「依頼者の協力が得られない」として辞任することもあります。

辞任されてしまうと、それまでの交渉が水の泡になり、債権者からの督促が再開されるだけでなく、別の専門家を探して一から手続きをやり直す必要が出てきます。その間に遅延損害金が膨らみ、状況がさらに悪化することも考えられます。連絡が来たら、可能な限り早く対応し、わからないことがあれば遠慮せず質問してください。

まとめ

任意整理は裁判所を通さず、弁護士や司法書士が債権者と直接交渉する手続きですが、スムーズに進めるためには事前の書類準備が重要です。

まず必要になるのが、借金の内容が分かる書類です。具体的には、借入契約書やクレジットカードの利用明細、請求書、督促状などが該当します。これらは「どこから、いくら借りているのか」を正確に把握するために欠かせません。手元にない場合でも、債権者に取引履歴の開示請求を行えば取得できます。

次に、収入状況を示す書類を用意します。会社員であれば直近2〜3か月分の給与明細や源泉徴収票、自営業やフリーランスの場合は確定申告書の控えが必要です。これらは、無理のない返済計画を立てるための基礎資料になります。

あわせて、支出状況が分かる資料も重要です。家計簿(手書きやアプリでも可)や、家賃・光熱費・通信費などの支払いが確認できる通帳のコピーがあると、生活費と返済のバランスを判断しやすくなります。

そのほか、状況に応じて以下の書類が求められることもあります。
・住民票(家族構成の確認)
・保険証券のコピー(解約返戻金がある場合)
・車検証や不動産関係書類(高額な財産がある場合)

書類がすべて揃っていなくても、相談自体は可能です。まずは専門家に相談し、「何が足りないか」「優先して集めるべき書類は何か」を確認するとよいでしょう。任意整理は、正確な情報をもとに進めることで成功率が高まります。早めの準備と相談が、借金問題解決への第一歩です。

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債務整理とは、債務者が多額の借金を抱えた場合、多重債務に陥ってしまった場合に、借金を確実に返済することです。債務整理とひとくちに言っても、任意整理・個人民事再生・自己破産・過払い請求・特定調停と、その方法は様々。お客様の借金の総額や取引年数、現在の収入資産などに応じて最適な解決方法をご提案いたします。

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