任意整理を検討していても、「相談した後は何をするのか」「返済はいつ止まり、いつ再開するのか」「解決まで何か月かかるのか」が分からず、不安に感じる方もいるでしょう。
任意整理は、裁判所を通さず、弁護士や認定司法書士などの専門家が債権者と返済条件について交渉する債務整理の方法です。一般的には、相談・依頼から取引履歴の確認、和解交渉を経て、新しい返済条件で返済を再開します。
相談から和解成立までは3〜6か月程度が一つの目安ですが、債権者の数や交渉内容によって期間は変わります。
この記事では、任意整理の手続きを5つのステップに分け、「本人がやること」と「専門家がやること」をそれぞれ整理します。これから任意整理を始める方が、次に何をすればよいのか確認するためにお役立てください。
任意整理とは?まず手続きの全体像を確認
任意整理とは、借金の返済が難しくなった場合に、債権者と話し合って今後の返済条件を見直す方法です。
多くの場合、弁護士や認定司法書士が代理人となり、将来利息の減免や返済期間の調整などを交渉します。ただし、債権者には任意整理に応じる義務があるわけではないため、希望どおりの条件で和解できるとは限りません。
手続きの大まかな流れと期間は次のとおりです。
| 手続き | 期間の目安 | 本人が主に行うこと | 専門家が主に行うこと | |
| 1 | 相談・依頼 | 数日〜2週間程度 | 借入れ・収入・家計を伝える | 任意整理が適切か判断する |
| 2 | 受任通知 | 依頼後速やかに | 支払いや連絡について指示を確認する | 対象となる債権者へ受任通知を送る |
| 3 | 債務額の確認 | 1〜2か月程度 | 家計を整え、返済原資を確認する | 取引履歴を取得し債務額を確認する |
| 4 | 和解交渉 | 1〜3か月程度 | 提示された返済案を確認する | 債権者と返済条件を交渉する |
| 5 | 返済再開 | 和解後 | 決められた金額を返済する | 必要に応じて返済を管理・サポートする |
期間はあくまで目安です。債権者が多い場合や、取引履歴の取得・交渉に時間がかかる場合は長期化することがあります。元記事では、相談から和解成立まで3〜6か月程度、和解後の返済期間は3〜5年程度が一般的な目安として紹介されています。
ここから、それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。
任意整理の手続きの流れを5ステップで解説
たとえば、月々10万円の返済が苦しかった方も、利息カットと期間延長により、月4万円程度まで減額できたケースもあります。このように、毎月の負担を現実的な範囲に調整することで、生活を立て直し、完済を目指せるのが任意整理の大きな特徴です。
一方で、任意整理は、あくまで「話し合い」による解決を目指すものです。そのため、債権者の同意が得られなければ成立しません。専門家の交渉力や経験が、結果を大きく左右する側面もあるのをご理解ください。返済が苦しいと感じた段階で、早めに専門家に相談することをおすすめします。
ステップ1 弁護士・司法書士へ相談する
最初に行うのは、現在の借金と家計状況を整理して専門家へ相談することです。
相談時には、借入先だけでなく、残高、毎月の返済額、収入、家賃などの生活費についても可能な範囲で伝えましょう。正確な情報が分かるほど、任意整理で返済を続けられるのか、それとも個人再生や自己破産など別の方法を検討した方がよいのか判断しやすくなります。
すべての資料が揃っていなくても相談できる場合があります。分からない借入先や残高があれば、把握している範囲から伝えてください。
本人がやること
借入先や残高、毎月の返済額、収入・支出を整理し、専門家へ正確に伝えます。利用していないカードや少額の借入れも含め、隠さず伝えることが重要です。
専門家がやること
家計や借金の状況を確認し、任意整理で継続的な返済が可能か検討します。任意整理が難しい場合には、個人再生や自己破産など別の方法も含めて方針を考えます。
なお、認定司法書士が代理できる裁判外の和解などには、簡易裁判所で扱える140万円以下の請求事件等という範囲があり、債権額や手続きの内容によっては弁護士への相談が必要です。
ステップ2 受任通知を債権者へ送付する
正式に依頼すると、専門家から任意整理の対象となる債権者へ「受任通知」を送ります。
受任通知とは、弁護士や司法書士が債務整理を受任したことを知らせる書面です。貸金業者が弁護士等から受任通知を受け取った後は、法律上、正当な理由なく本人へ直接取り立てることが規制されています。
ただし、任意整理から外した債権者については、それまでどおり支払いが必要になる場合があります。また、すでに訴訟を起こされているケースなどでは別の対応が必要です。
本人がやること
依頼後の返済をどうするかは自己判断せず、専門家の指示を確認してください。また、給与振込口座や公共料金の引落口座に影響が出る可能性がある場合は、必要に応じて口座変更などを準備します。
専門家がやること
任意整理の対象となる債権者へ受任通知を送り、今後の連絡窓口となります。あわせて、債権者へ取引履歴などの開示を求め、正確な債務額を調査していきます。
ステップ3 取引履歴を確認して債務額を確定する
受任通知を送った後、専門家は債権者から取引履歴を取り寄せます。
取引履歴には、借入れや返済の経過などが記録されています。これを確認し、必要に応じて利息制限法に基づく計算を行ったうえで、今後返済する債務額を整理しますが、取引期間が長い場合には、過去の取引内容によって過払い金が判明するケースもああるかもしれません。
取引履歴の取得から債務額の確認までは、1〜2か月程度が一つの目安です。ただし、債権者によって開示までの期間は異なります。
本人がやること
この期間を使って、今後毎月いくらなら無理なく返済できるのか家計を確認します。収入が変わった場合や大きな支出が発生した場合は、返済計画に影響するため早めに専門家へ伝えましょう。
専門家がやること
取引履歴を取得し、現在の債務額を確認します。その結果と本人の収入・支出を照らし合わせ、債権者へ提示する返済案を検討します。
ステップ4 債権者と和解交渉を行う
債務額と返済可能額が明らかになったら、専門家が債権者との交渉を進めます。
任意整理では、将来発生する利息の減免や返済回数などについて交渉し、無理なく返済を続けられる条件での合意を目指します。
ただし、「将来利息が必ずゼロになる」「必ず5年間の分割にできる」といった保証はありません。交渉結果は債権者や借入期間、返済状況などによって変わります。
元記事では、和解交渉にかかる期間を1〜3か月程度としています。複数の債権者がいる場合には、それぞれと交渉するため時間がかかることもあるでしょう。
本人がやること
専門家から提示された返済案を確認し、その金額を継続して支払えるか検討します。無理があると感じた場合は、和解前に必ず相談してください。
専門家がやること
債務額や本人の返済可能額を踏まえて債権者と交渉します。合意に至った場合は、返済額・返済回数・支払日などを記載した和解書等を作成します。
ステップ5 和解内容に沿って返済を再開する
債権者との和解が成立したら、新しい返済条件に沿って返済を始めます。返済期間は3〜5年程度となるケースが多いものの、実際の期間は和解内容によって異なります。
返済方法も依頼先によって異なります。本人が各債権者へ直接振り込む場合もあれば、専門家の事務所を通じて返済を管理するケースもあります。
本人がやること
毎月の返済日と金額を確認し、返済資金を確保します。支払いが難しくなりそうな事情が生じた場合は、滞納してからではなく、その前に専門家へ連絡することが大切です。
専門家がやること
依頼内容によっては、返済の管理や各債権者への送金を代行します。また、収入減少などによって返済が難しくなった場合には、状況を確認したうえで今後の対応を検討します。
任意整理はどのくらいの期間がかかる?
任意整理は、相談してすぐにすべてが終わる手続きではありません。
元記事では、相談から和解成立までの目安を3〜6か月程度としています。内訳の一例は次のとおりです。
| 手続き | 期間の目安 |
| 相談・依頼 | 数日〜2週間程度 |
| 受任通知 | 依頼後速やかに |
| 取引履歴の取得・債務額確認 | 1〜2か月程度 |
| 和解交渉 | 1〜3か月程度 |
| 返済開始 | 和解成立後 |
| 完済まで | おおむね3〜5年程度 |
債権者が多い場合や、返済条件について調整が必要な場合には、和解までの期間が長くなることがあります。
重要なのは、「早く終わらせること」だけを目的に無理な返済条件で合意しないことです。数年間にわたって続けられる金額かどうかを確認したうえで、返済計画を決める必要があります。
任意整理の手続き中に本人がやること
任意整理を専門家へ依頼すると、債権者との交渉などは専門家が中心となって進めます。ただし、本人が何もしなくてよいわけではありません。
まず重要なのが、家計を整えることです。和解後に毎月いくら返済できるのか判断するため、家賃、食費、光熱費、通信費などを確認し、継続可能な返済額を把握しておきましょう。
また、専門家から書類の提出や確認を求められた場合は、できるだけ早めに対応することが大切です。転職や収入減、病気など家計に大きな変化が生じた場合も、その都度伝えてください。
任意整理を依頼した後に新たな借入れを重ねると、返済計画そのものが成り立たなくなる可能性があります。新しい借入れやカード利用について迷った場合も、自己判断せず依頼先へ確認するとよいでしょう。
任意整理のメリット・デメリットは簡潔に理解しておく
任意整理の最大の特徴は、裁判所を利用せず、対象とする債権者を選んで返済条件の見直しを交渉できる点です。
任意整理の主なメリット
自己破産や個人再生とは異なり、原則として整理する債権者を選択できます。そのため、保証人が付いている借金などを対象から外せる場合があります。
また、将来利息などの負担を軽減できれば、完済までの見通しを立てやすくなるでしょう。裁判所を利用しないため、官報にも掲載されません。
任意整理の主なデメリット
元金そのものが大幅に減る手続きではないため、和解後も継続した返済が必要です。また、債権者との合意を前提とするため、希望する条件で和解できるとは限りません。
信用情報にも影響します。信用情報機関ごとに登録内容や保有期間は異なりますが、任意整理後は新たなクレジットカードやローンの審査に影響する可能性があります。JICCでは「債務整理」が取引事実に関する情報として登録対象とされ、現在の契約については契約継続中および契約終了後5年以内が基本的な登録期間です。CICのクレジット情報も契約期間中および契約終了後5年間保有されます。
「任意整理をすれば必ず5年間カードを作れない」と単純に考えるのではなく、登録内容や契約状況によって異なると理解しておきましょう。
任意整理・個人再生・自己破産はどう選ぶ?
任意整理は、和解後も元金を中心とした返済を続けられる見込みがある場合に検討される方法です。
一方、借金額に対して返済可能額が不足している場合には、個人再生や自己破産を検討した方がよいケースもあります。
| 項目 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
| 裁判所 | 原則利用しない | 利用する | 利用する |
| 債務 | 返済条件を交渉 | 法律に基づき減額を目指す | 免責が認められれば対象債務の支払義務を免れる |
| 対象債権者 | 原則選択できる | 原則すべて | 原則すべて |
| 財産への影響 | 比較的小さい | 財産価値等が返済額に影響 | 一定の財産が処分対象となる場合がある |
| 官報 | 掲載されない | 掲載される | 掲載される |
どの手続きが適しているかは、借金総額だけでは判断できません。収入、資産、住宅ローン、保証人の有無、家族の状況などを含めて検討する必要があります。
任意整理を相談する前に確認しておきたいこと
相談時にすべての資料が揃っている必要はありませんが、借入状況や家計が分かる資料を準備しておくと話が進みやすくなります。
特に、借入先の名称、おおよその残高、毎月の返済額、収入と固定費は確認しておくとよいでしょう。
また、保証人付きの借入れや銀行口座と関係する債務を整理する場合には、保証人への請求や口座への影響が生じる可能性があります。整理対象を決める段階で、専門家へ利用中の銀行口座や保証人の有無も伝えてください。
費用についても、着手金や報酬、実費、分割払いの可否などを契約前に確認しておくことが重要です。料金体系は事務所によって異なるため、「1社いくら」だけでなく最終的にどの程度の費用が必要になるのか説明を受けておきましょう。
まずは無料相談で、あなたに合った解決方法を確認しましょう
債務整理の実績1万5,821件(2019年4月調べ)。借金の状況をお聞きし、手続きと費用の見通しをご説明します。
【平日】9:00~18:30 【土・日・祝日】10:00~17:00
まとめ
任意整理の基本的な流れは、次の5つです。
1.「相談・依頼」
2.「受任通知」
3.「債務額の確認」
4.「和解交渉」
5.「返済再開」
相談から和解成立までは3〜6か月程度が一つの目安ですが、債権者の数や対応状況によって前後します。和解後は、決められた返済条件に沿って3〜5年程度を目安に完済を目指すケースが一般的です。
専門家へ依頼した後、債権者とのやり取りや交渉は専門家が中心となって進めます。一方、本人は家計を整理し、無理なく返済できる金額を把握するとともに、専門家から求められた資料の提出や連絡に対応することが必要です。
任意整理は、単に督促を止めるための手続きではありません。今後も継続して返済できる条件へ整え、完済を目指すための方法です。
「毎月の返済が苦しくなっている」「このまま支払いを続けられるか不安」という段階であれば、延滞が深刻になる前に専門家へ相談することも検討してください。
くすの木総合法務事務所では、債務整理についての相談を受け付けています。現在の借入状況を整理したうえで、任意整理をはじめとした解決方法を一緒に検討していきます。
この記事の監修者

司法書士 行政書士 くすの木総合法務事務所
代表:藤田 太
- 保有資格
- 司法書士(日本司法書士会連合会所属、埼玉司法書士会所属 登録番号 第1124号、簡裁訴訟代理等関係業務認定 第601564号)
- 行政書士(日本行政書士会連合会所属、埼玉県行政書士会所属 登録番号 第07131937号)
1978年生、中央大学法学部卒業。大学卒業後、サラリーマンとして営業職、大手予備校勤務を経て司法書士試験、行政書士試験に合格。趣味は釣り(フライフィッシング)とドライブ、バスケットボール。敷居の低い事務所、頼れる街の法律家を目指して日々精進中。











