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任意整理(債務整理)後の住宅ローンはどうなる?弁護士など事務所への法律相談について解説

Last Updated on 2026年1月22日 by 監修者:司法書士 藤田太

任意整理(債務整理)をすると、「将来、住宅ローンは組めるのだろうか」「今住んでいる家はどうなるのか」と不安に感じる方は少なくありません。特に、マイホームの購入や借り換えを考えている場合、信用情報や金融機関の審査への影響は気になるところではないでしょうか。

任意整理は自己破産とは異なり、財産を処分せずに借金問題の解決を目指す手続きです。しかし、手続き後しばらくの間は信用情報に影響が残り、住宅ローンに関して一定の制約が生じるのも事実です。とはいえ、「一生住宅ローンが組めない」というわけではありません。

この記事では、任意整理後に住宅ローンはどう扱われるのか、審査に影響するポイントや注意点について解説します。

任意整理後でも住宅ローンは組める?現実的な可能性

任意整理をすると、一定期間、信用情報機関に事故情報が登録されるため、住宅ローンの審査は厳しくなるのが現実です。ただし、「一生ローンが組めない」というわけではありません。任意整理の場合、完済後おおむね5年程度で信用情報から事故情報が削除されるとされています。ここでは、住宅ローンの審査に影響する信用情報と、それぞれの債務整理の方法の住宅ローンの影響について解説します。

任意整理後のブラックリストはいつ消える?信用情報回復の目安

任意整理を行うと、信用情報機関にいわゆる「事故情報(延滞・債務整理に関する情報)」が登録されます。日本には主に、次の3つの信用情報機関があります。

・CIC(株式会社シー・アイ・シー)
・JICC(日本信用情報機構)
・KSC(全国銀行個人信用情報センター)

任意整理に関する情報は、これらの機関に一定期間保存され、その間は新規のローンやクレジットカードの審査に影響を与えます。

一般的に、CICやJICCでは、任意整理で和解した借金を完済してから約5年程度、事故情報が保存されるとされています。重要なのは、この期間が手続きを開始した日や和解成立日ではなく、「実際に完済した日」からカウントされることです。

たとえば、3年間の分割返済で任意整理を行った場合、返済を終えてからさらに約5年が経過して、はじめて信用情報が回復する目安となります。結果として、任意整理開始から住宅ローンを現実的に検討できるまで、合計で8年程度かかるケースもあるということになります。

なお、銀行が加盟するKSCでは、事故情報が最長10年程度保存される場合もあるため、住宅ローンを検討する際は、この点も理解しておく必要があります。

信用情報の状況を正確に知りたい場合は、各信用情報機関に対して「信用情報の開示請求」を行うことが可能です。インターネットや郵送、窓口で手続きができ、数百円から1,000円程度の手数料で現在の登録内容を確認できます。これにより、事故情報が残っているかどうか、回復のタイミングを客観的に把握できます。

信用情報が回復したからといって、必ず住宅ローンが通るわけではありません。金融機関は、年収・勤続年数・他の借入状況・頭金の有無などを含め、総合的に返済能力を判断します。「ブラックリストが消えた=ローンが通る」ではなく、「ようやく審査の土俵に立てる状態」と考えるのが現実的でしょう。

信用情報回復後の審査に備えるためには、任意整理後の期間の過ごし方が重要です。状況によっては、携帯電話の分割払いなどを遅れなく支払うことで、新たな信用実績(クレヒス)を積み上げられる場合もあります。無理のない範囲で健全な支払い実績を重ねることが、将来の信用回復につながります。

任意整理・個人再生・自己破産の住宅ローンへの影響比較

債務整理には主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの手続きがあり、それぞれ住宅ローンへの影響や信用情報の回復時期が異なります。将来的に住宅ローンの利用を考えている場合は、各手続きの特徴と制約を正しく理解しておくことが重要です。

 

項目任意整理個人再生自己破産
手続きの特徴裁判所を通さず、債権者と個別交渉し利息等をカット裁判所を通じて借金を大幅減額し、原則3年(最長5年)で返済裁判所の免責決定により借金の支払義務を免除
整理対象整理する借金を選択可能(住宅ローンを除外できる)原則として住宅ローン以外の借金が対象原則すべての借金が対象
自宅の扱い住宅ローンを対象外にすれば自宅は維持可能住宅ローン特則を利用すれば自宅維持が可能(要件あり)原則として処分対象
信用情報回復の目安完済後おおむね5年手続終了・完済後5〜10年(KSCは最長10年)免責決定後5〜10年(KSCは最長10年)
住宅ローンへの影響3手続きの中では比較的影響が小さいが、一定期間は審査困難自宅は残せるが、銀行系ローンへの影響は長期化しやすい住宅ローンは不可。再取得まで長期間必要
その他柔軟な対応が可能。社内ブラックに注意官報掲載あり。安定収入が必要官報掲載あり。一定財産は処分

どの手続きが最適かは、借金の総額、収入状況、家族構成、将来の住宅取得計画によって異なります。たとえば、返済の見込みが立たないほど債務が大きい場合は、自己破産が現実的な選択となることもあります。一方、安定収入があり、自宅を維持したい場合は、個人再生(住宅ローン特則)が選択肢になるかもしれません。

また、将来的に住宅ローンを組むことを重視する場合、信用情報の回復時期だけでなく、どの金融機関を選ぶかも重要です。特にKSCに情報が残る期間中は、銀行系ローンではなく、フラット35など保証スキームの異なる商品を検討する方が現実的なケースもあります。 どの手続きを選ぶにしても、将来設計を見据え、弁護士や司法書士と十分に相談しながら進めることが不可欠です。

任意整理後に住宅ローン審査を通すための6つの対策

住宅ローン審査では、信用情報だけでなく、現在の収入や勤続年数、他の借入状況、頭金の有無、金融機関の選び方など、さまざまな要素が総合的に判断されます。単に時間が経つのを待つだけでなく、戦略的に準備を進めることが重要です。これから紹介する6つの対策を、ぜひ参考にしてみてください。

【対策1】任意整理した金融機関を避けて申込先を選ぶ

任意整理を行った場合、対象となった金融機関では、独自の内部記録(いわゆる「社内ブラック」)が残る可能性があります。これは法律で定められた「ブラックリスト」が存在するわけではありませんが、各金融機関がリスク管理のために過去の取引履歴を保存していることによるものです。

たとえば、A銀行のカードローンを任意整理した場合、信用情報機関から事故情報が削除された後であっても、A銀行やその系列会社の内部データに過去の債務整理履歴が残っており、住宅ローンの審査で不利に働くケースがあります。

そのため、住宅ローンの申込先を選ぶ際には、任意整理の対象となった金融機関や、その関連グループを避けることが重要です。具体的には、次の点を確認しておきましょう。

・どの金融機関・どの商品を任意整理の対象にしたかを正確に把握する
・その金融機関の系列会社やグループ企業を調べる
・住宅ローンの保証会社や審査主体が、過去に任意整理した金融機関と無関係であるかを確認する

信用情報機関の記録が消えたとしても、金融機関の内部情報まで自動的に消えるわけではありません。このことを考慮せずに申込先を選ぶと、他の条件が整っていても、過去の取引履歴を理由に審査に通らない可能性があります。住宅ローン審査を通すためには、収入や頭金だけでなく、申込先選びそのものが重要な戦略となります。

【対策2】フラット35・地方銀行・信用金庫を選ぶ

住宅ローンの審査基準は、金融機関の種類によって大きく異なります。一般に、メガバンクや大手都市銀行は審査基準が画一的かつ厳格で、過去に任意整理の履歴がある場合、信用情報が回復した後であっても慎重な判断がなされる傾向があります。

そのため、任意整理後に住宅ローンを検討する際には、フラット35や地方銀行、信用金庫など、比較的柔軟な審査を行う可能性のある金融機関を検討することが現実的といえるでしょう。

フラット35

フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する、全期間固定金利型の住宅ローンです。保証会社を利用しない点が特徴ですが、信用情報の照会自体は行われます。しかし、審査では過去の履歴だけでなく、現在の返済能力(年収・勤続年数・返済負担率など)を重視する傾向があり、信用情報が回復していれば検討するべき選択肢です。

地方銀行・信用金庫

地方銀行や信用金庫は地域密着型の金融機関であり、数値だけでなく、申込者の現在の生活状況や勤務先、地域との関わりなどを踏まえて判断する場合もあります。地元での長期就業実績や安定した収入が評価されることもあり、窓口で直接相談することで事情を丁寧に聞いてもらえる可能性があります。

ただし、いずれの金融機関であっても、信用情報が回復していることが前提となり、返済能力を示すための資料提出や準備は不可欠です。

【対策3】夫婦ペアローン・親子リレーローンを検討する

任意整理をした本人が単独で住宅ローンを申し込む場合、信用情報や収入面で不利になることがあります。そこで検討されるのが、信用情報に問題のない配偶者や親と協力して申し込む方法です。具体的には、「夫婦ペアローン」や「親子リレーローン」といった仕組みを利用することで、審査上の選択肢が広がる可能性があります。

夫婦ペアローン

夫婦ペアローンとは、夫婦それぞれが別々に住宅ローン契約を結び、同一の物件を購入する方法です。この場合、夫婦はそれぞれが主債務者となり、双方とも審査を受ける必要があります。そのため、配偶者に任意整理の履歴がある場合、金融機関によってはペアローン自体が難しいケースもあります。

一方で、金融機関によっては「配偶者単独名義の住宅ローン」や「収入合算(連帯債務・連帯保証)」といった形で対応できる場合もあり、必ずしもペアローンに限定されるわけではありません。どの方式が利用できるかは、金融機関ごとの審査基準によります。

親子リレーローン

親子リレーローンは、親と子が同時に債務者となり、親の返済期間終了後に子が返済を引き継ぐ仕組みです。任意整理の履歴がある子どもが単独で申し込むのではなく、信用情報に問題のない親と共同で申し込むことで、親の年収や信用力を前提に審査が行われる可能性があります。ただし、子どもも原則として債務者となるため、信用情報の回復状況によっては審査に影響する場合があることには注意が必要です。

利用時の注意点

これらの方法を利用する際には、次の点を十分に確認しておきましょう。

・連帯債務者・連帯保証人となる家族にも審査が行われる
・団体信用生命保険(団信)の加入条件が契約形態ごとに異なる
・将来の相続や持分割合、名義変更の問題が生じる可能性がある

家族の協力を得ることで、任意整理の履歴があっても住宅ローンを検討できる可能性は広がります。ただし、家族にも大きな責任が生じるため、事前に十分な話し合いと、金融機関や専門家への相談が不可欠です。

【対策4】頭金を多めに準備して借入額を抑える

住宅ローンの審査では、金融機関が申込者の返済能力を重視します。任意整理の履歴がある場合、信用情報の面で慎重な判断がなされやすいため、借入額を抑え、返済負担を軽くすることが審査上、プラスの材料になります。そのための現実的な対策が、頭金を多めに準備することです。

一般に、住宅ローンの頭金は物件価格の1〜2割程度が一つの目安とされています。ただし、これはあくまで一般論であり、任意整理後の場合に「何%あれば必ず通る」という基準があるわけではありません。とはいえ、頭金を多く入れることで借入額が減り、金融機関にとってのリスクが下がるため、審査上有利に働く可能性は高くなります。

頭金を増やすことで期待できる主な効果は、次のとおりです。

・借入額が減り、月々の返済負担が軽くなる
・返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)が改善される
・計画的に貯蓄してきた実績が、返済能力の裏付けとして評価されやすい

これらの要素が総合的に評価された結果、審査上プラスに働いたり、金利条件が有利になる可能性も考えられます。ただし、金利優遇が必ず受けられるわけではなく、金融機関ごとの判断によります。

【対策5】クレジットヒストリーを積み重ねて信用回復を図る

任意整理後、信用情報機関から事故情報が削除されたとしても、その後にクレジットの利用履歴がまったくない状態(いわゆる「スーパーホワイト」)の場合、金融機関が返済能力を判断しづらくなり、審査で慎重な評価を受けることがあります。そこで重要になるのが、健全なクレジットヒストリー(クレヒス)を少しずつ積み重ねることです。

クレジットヒストリーとは、クレジットカードや分割払いなどの利用・返済の履歴を指し、金融機関はこれをもとに「現在は適切に支払い管理ができているか」を判断します。信用情報が回復した後、無理のない範囲でクレヒスを作っていくことが、将来の住宅ローン審査に向けた準備になります。

一般的な進め方の一例は、次のとおりです。

・CIC・JICC・KSCで信用情報を開示し、事故情報が削除されていることを確認する
・審査難易度が比較的低いとされるクレジットカードに申し込む

※流通系カードや年会費無料カードなど
・毎月少額の支払い(通信費など)をカード払いに設定する
・引き落とし日に必ず口座残高を確保し、延滞を一切起こさない
・数か月〜1年以上、良好な利用実績を継続する

このように、少額でも期日どおりに支払いを続けることで、「現在は安定した支払い管理ができている」という実績を示すことができます。

ただし、リボ払い・キャッシングの利用は控えるべきです。これらは返済状況によっては金融機関から慎重に見られることがあり、信用回復の目的には適しません。あくまで一括払いを基本とし、無理のない範囲で利用することが大切です。また、スマートフォンの分割払いなども信用情報に反映されるため、こうした契約を遅延なく完済することも、クレヒスの積み重ねとして評価されます。

【対策6】年収・勤続年数・返済負担率の条件を整える

住宅ローンの審査では、信用情報だけでなく、申込者の返済能力を示す基本的な条件が総合的にチェックされます。特に任意整理の履歴がある場合、金融機関は「現在、安定して返済できる状態にあるか」について、より慎重に判断する傾向があります。そのため、次の3つの条件を意識して整えておくことが、審査通過の重要な土台となります。

1.年収の安定性

多くの金融機関では、住宅ローン申込みの目安として年収300万円程度以上を設定しているケースが見られます。ただし、これはあくまで一般的な目安であり、任意整理後だからといって一律に高い年収が法的に求められるわけではありません。とはいえ、年収が高く、かつ安定しているほど返済能力は評価されやすくなります。正社員であることが有利に働く場合はありますが、契約社員や自営業であっても、継続的な収入実績を示せれば審査対象となることもあります。

2.勤続年数の長さ

金融機関は、勤続年数を収入の安定性を測る一つの指標として見ています。一般には勤続1〜3年以上が評価されやすいとされていますが、これも絶対的な基準ではありません。転職直後の場合は不利になることがありますが、同一業界・職種での転職であれば、通算の職歴を考慮してもらえるケースもあります。申込前に金融機関へ確認しておくと安心です。

3.返済負担率の適正化

返済負担率とは、年収に対する年間返済額の割合を指し、住宅ローンだけでなく、他のローン(自動車ローン、カードローンなど)も含めて算出されます。一般的には30〜35%以下が一つの目安とされています。

たとえば年収400万円の場合、年間返済額を120万円程度(月10万円程度)以内に抑えると、返済負担率の面では評価されやすくなります。他に借入がある場合は、住宅ローン申込み前にできる限り整理・完済しておくことが望ましいです。また、審査直前にクレジットカードのキャッシングや新たな借入を行うと、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。申込み前の一定期間は、新規借入を控えることが重要です。

物件選びで審査を有利に進めるための考え方

債務整理後の住宅ローン審査では、「申込者自身の信用情報」だけでなく、購入する物件の内容も重要な判断材料となります。金融機関は、万が一返済が滞った場合に備え、物件を担保として評価するため、物件の立地や資産性、流動性などを総合的に確認します。そのため、どの物件を選ぶかによって、審査の評価が左右されることもあります。

担保評価で見られやすいポイント

金融機関は、「返済不能時に適切な価格で売却できるか」という観点から物件を評価します。債務整理後の審査では、担保評価がより慎重に行われる傾向があるため、次の点を意識するとよいでしょう。

1.立地の条件

一般に、交通利便性が高く、人口動態が安定しているエリアは需要が見込まれやすく、担保評価が下がりにくいとされています。ただし、徒歩〇分以内でなければならないといった法的・画一的な基準があるわけではありません

2.建物の管理・維持状況

マンションの場合は、管理組合の運営状況や修繕計画、修繕積立金の水準などが確認されることがあります。管理が適切に行われていない物件は、将来的な価値低下が懸念されるため、評価に影響する可能性があります。

3.再建築の可否

戸建ての場合、建築基準法上の接道要件を満たしているかなど、再建築が可能な土地であるかは資産評価に影響します。再建築不可物件は、金融機関によっては融資対象外となる場合もあるため、事前確認が重要です。

新築・中古・立地による評価の違い

物件の種類や築年数によっても評価は異なります。

・新築物件
最新の建築基準に適合している点は評価されやすい一方、購入価格と実勢価格が必ずしも一致するとは限らず、担保評価は慎重に行われます。
・中古物件
価格を抑えやすく、借入額を減らせる点はメリットですが、築年数や構造によっては建物評価が低くなり、土地評価が中心となる場合があります。築年数だけでなく、耐震性やリフォームの履歴についても確認しましょう。
・立地
新築・中古を問わず、流動性(売却しやすさ)は重要な評価要素です。ただし、評価の重み付けは金融機関ごとに異なります。

物件価格と借入額のバランス(LTV)

金融機関は、借入額が物件価値に対してどの程度か(LTV:Loan to Value)も考慮します。一般に自己資金を多く投入するほど評価は安定しやすいとされますが、「〇%以下でなければならない」という一律の法的基準は存在しません。

フルローンやオーバーローンは、金融機関によっては取り扱い可能な場合もありますが、債務整理後の場合は慎重な審査となる傾向があります。無理のない価格帯に予算を見直すことも、現実的な選択肢です。

物件選びは、担保評価だけでなく、返済計画とのバランスも重要です。返済負担率(年収に対する年間返済額)は、一般に30%前後が一つの目安とされますが、これはあくまで参考値であり、金融機関ごとに基準は異なります。

住宅ローン返済中でも任意整理できる?家を守るための考え方

住宅ローンを返済中であっても、状況によっては任意整理を行うことは可能です。ただし、どの方法を選んでも必ず家を守れるわけではなく、選択を誤ると住まいを失うリスクが生じることもあります。

多くの方が「債務整理=家を失う」とイメージしがちですが、実際には、住宅ローンを整理の対象から外す任意整理や、一定の条件を満たすことで自宅を維持できる個人再生など、家を残しながら借金問題の解決を目指せる選択肢も存在します。重要なのは、現在の収入状況や借金の内容、住宅ローンの残高などを踏まえ、自分に合った方法を正しく選ぶことです。

ここでは、住宅ローン返済中の方が知っておくべき債務整理の考え方と、家を守るために注意すべきポイントを、メリット・デメリットについて解説していきます。

住宅ローンを対象外にして、他の借金のみ任意整理する方法

任意整理の大きな特徴の一つは、整理の対象とする借金を選択できる点にあります。そのため、住宅ローンを任意整理の対象から外し、カードローンやクレジットカードなどの借金のみを整理することが可能です。この方法を取れば、住宅ローンは従来どおり返済を続けながら、他の借金の負担を軽減することができます。

たとえば、毎月の住宅ローン返済が8万円、消費者金融3社への返済が合計6万円あるケースを考えてみましょう。消費者金融のみを任意整理の対象とし、利息をカットできれば、月々の返済額が3万円程度まで減る可能性があります。この場合、住宅ローンの契約内容自体には影響はありません。

もっとも、任意整理を行った事実は信用情報機関に登録されるため、間接的に住宅ローンを扱う金融機関に知られる可能性が完全にゼロとは言い切れません。ただし、住宅ローンを対象外としてきちんと返済を継続していれば、直ちに契約が解除されたり、担保である自宅を失うことにつながるわけではありません。

この方法を選ぶ際には、次の点を十分に確認しておくことが重要です。

返済原資の確保

任意整理後は、利息をカットした元金を原則として3~5年程度で分割返済していくことになります。住宅ローンを含めた固定費を無理なく支払えるだけの安定した収入が前提となります。たとえば、住宅ローン8万円+任意整理後の返済3万円に生活費を加えた支出が、現在の収入で現実的かどうかを慎重に見極める必要があります。

信用情報への影響

任意整理を行うと、信用情報機関に事故情報が登録され、おおむね5年間は新規のクレジットカード作成やローンの借入が難しくなります。そのため、住宅ローンの借り換えや追加融資を検討している場合は、計画を見直す必要があります。

このように、住宅ローンを対象外として任意整理を行う方法は、自宅を維持しながら返済負担を軽減できる可能性がある有効な選択肢です。ただし、収支のバランスや将来の見通しを誤ると、結果的に返済が行き詰まるリスクもあります。手続きを検討する際は、必ず弁護士や司法書士と相談し、自分の状況に合った進め方を確認することが大切です。

住宅ローン特則(個人再生)で家を守る選択肢

任意整理では返済が難しい場合や、整理後の返済額でも生活が成り立たない場合には、個人再生における住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用する、という選択肢があります。これは、裁判所を通じて行う個人再生手続の一部で、住宅ローンは従来どおり返済を続けながら、その他の借金を法的に減額できる制度です。

個人再生では、住宅ローンを除いた借金を、債務総額や財産状況に応じて大幅に減額し、原則3年(特別な事情がある場合は最長5年)で分割返済していきます。たとえば、住宅ローン以外の借金が500万円ある場合でも、法律で定められた最低弁済基準や清算価値を踏まえた結果、返済額が100万円程度まで減額されるケースもあります(※減額幅は個別事情により異なります)。この場合、月々の返済額は約2万8,000円となり、住宅ローンと合わせても返済負担を大きく軽減できる可能性があります。

ただし、住宅ローン特則を利用するには、次のような要件を満たす必要があります。

主な利用要件

・居住要件
住宅ローンの対象となっている不動産に、申立人本人が居住していることが必要です。投資用物件や別荘は対象外となります。

・抵当権の状況
原則として、住宅ローン以外の債権者による抵当権や根抵当権が設定されていないことが求められます。複数の担保が設定されている場合、特則が利用できないケースもあります。

・安定した収入
個人再生では、将来にわたって再生計画どおり返済できる見込みが必要です。正社員である必要はありませんが、アルバイトや個人事業主の場合は、継続的・安定的な収入があることを資料で示す必要があります。

住宅ローン特則の最大のメリットは、自宅を手放さずに、他の借金を法的に大幅減額できる点にあります。一方で、官報に氏名が掲載されること、手続きに数か月程度かかること、弁護士・司法書士費用が任意整理より高くなる傾向があることには注意が必要です。

任意整理vs個人再生|住宅を残すならどちらが有利?

住宅を残すことを最優先に考える場合、任意整理と個人再生のどちらが適しているかは、返済能力と住宅ローン以外の借金総額、家計全体のバランスによって判断が分かれます。単純に「どちらが良い」と言い切れるものではなく、収入・支出・家族構成・将来の見通しを踏まえて総合的に検討する必要があります。

任意整理が向いているケース

住宅ローン以外の借金が比較的少額で、利息をカットすれば3〜5年程度で無理なく返済できる見込みがある場合は、任意整理が現実的な選択肢といえます。任意整理は裁判所を通さないため手続きが比較的簡易で、費用も抑えやすく、周囲に知られる可能性が低い点が特徴です。住宅ローンを整理対象から外せば、家を維持したまま返済負担の軽減を図ることができます。

個人再生が向いているケース

住宅ローン以外の借金が多く、任意整理をしても月々の返済額が生活費を圧迫してしまう場合には、個人再生が有利かもしれません。個人再生では、住宅ローンを除いた借金を法的に大幅減額できるため、返済負担を根本的に軽減し、生活再建を図りやすくなります。教育費や医療費など固定支出が多い家庭では、返済総額そのものを下げられる点が大きなメリットです。

信用情報への影響

信用情報への影響という点では、任意整理と個人再生はいずれも一定期間(目安として5〜10年程度)新規借入やクレジットカード作成が難しくなるという共通点があります。ただし、住宅ローンを対象外としてきちんと返済を続けている限り、住宅ローン契約自体に直ちに影響が出るわけではありませんなお、個人再生の場合は官報に掲載されるため、ごく限定的ながら第三者に知られる可能性があることは理解しておく必要があります。

どちらの方法を選ぶにしても重要なのは、現在の収入で無理なく返済を続けられるかという現実的な視点です。そのためにも、一人で抱え込まず、専門家と一緒に最適な方法を検討することが大切です。

住宅ローンが払えなくなった時の緊急の対処法

住宅ローンの返済が苦しくなったと感じたとき、何より重要なのは「できるだけ早い段階で行動すること」です。返済を放置すれば、延滞→期限の利益喪失→競売という流れが進む事態になりかねません。一方で、早めに適切な対処を取れば、家を守りながら立て直せる余地は十分にあります。

金融機関への早期相談とリスケジュール交渉

返済が厳しいと感じたら、滞納する前に金融機関へ相談することが原則です。滞納後よりも、事前相談のほうが返済条件の見直し(リスケジュール)に応じてもらえる可能性は高くなります。

リスケジュールとは、
・一定期間、元金返済を猶予する
・毎月の返済額を減らす
・返済期間を延ばす

といった方法で、一時的に返済負担を軽減する措置です。

ただし注意点として、リスケジュールは金融機関の裁量による任意対応であり、必ず認められるわけではありません。また、返済期間が延びることで支払総額(利息)が増えることも理解しておく必要があります。

相談時には、
・返済が厳しくなった理由
・今後の収入回復の見込み
・家計全体の収支状況

を客観的な資料(収支表・給与明細など)で示すことが重要です。

住宅ローン以外の借金を任意整理して負担を軽減する方法

住宅ローンの返済が苦しくなった原因が、他の借金(カードローン・リボ払い等)にある場合は、任意整理によって家計を立て直せる可能性があります。

任意整理は、裁判所を通さず、弁護士や司法書士が債権者と交渉し、
・将来利息のカット
・返済期間の調整

を行う手続きです。整理する借金を選べるため、住宅ローンを対象外にし、他の借金のみを整理することが可能です。

ただし、任意整理を行った借金については、信用情報機関に事故情報が登録され、完済後おおむね5年程度は新たな借入やクレジットカード作成が困難になります。任意整理は債権者の同意が前提のため、必ずしも全債権者が応じるとは限りません。そのことについては、注意が必要です。

親族からの資金援助で滞納を解消する方法

返済が一時的に厳しい場合、親族からの援助で滞納を回避するという選択肢もあります。援助の形には「贈与」と「借入」があり、税務上の扱いが大きく異なる点に注意が必要です

贈与の場合

年間110万円を超えると贈与税の課税対象です。住宅取得資金贈与の特例が使える場合もありますが、要件・非課税枠は年度ごとに変動するため、必ず最新制度を確認しましょう。

借入の場合

贈与税はかかりませんが、借用書の作成・返済実績の記録が不可欠です実態が伴わないと、税務上「贈与」と判断されるリスクがあります。

親族間の金銭援助は柔軟性が高い一方、感情面・将来の相続トラブルに発展する可能性もあります。そのため、金額・返済方法・期間を明確にし、誠実な対応を心がけることが重要です。

住宅ローンの滞納が続くと、最終的には競売に進み、家を失うだけでなく、売却後も残債が残る可能性があります。その段階に入る前に、金融機関・専門家・家族など、複数の選択肢を同時並行で検討することをおすすめします。

弁護士や司法書士に相談すれば、任意整理・個人再生・リスケジュールの可否を含め、状況に応じた整理が可能です。一人で抱え込まず、まずは早めに専門家に相談しましょう。

まとめ

任意整理をすると、「もう住宅ローンは一生組めないのでは?」と不安になる方は少なくありません。結論から言うと、任意整理後でも住宅ローンを組める可能性はあります。ただし、そこにはいくつかの現実的な条件と注意点があります。

まず、任意整理を行うと、信用情報機関にいわゆる「事故情報」が登録されます。この情報は、完済後おおむね5年程度で削除されるのが一般的です。この期間中は、新規の住宅ローン審査は極めて厳しくなりますが、永久に借りられないわけではありません。事故情報が消えた後は、過去の任意整理が審査に直接影響しなくなるため、住宅ローン申込みのスタートラインに立てると考えてよいでしょう。

ただし、信用情報が回復しただけで必ず審査に通るわけではありません。金融機関は、現在の年収・勤続年数・返済負担率・頭金の有無などを総合的に判断します。また、任意整理の対象となった金融機関やその系列では、社内記録が残っている可能性があるため、申込先選びも重要です。

こうした判断をご自身で行うのはリスクが高いため、弁護士や司法書士といった専門家への法律相談をおすすめします。専門家に相談すれば、「いつ頃なら住宅ローンを検討できるか」「任意整理以外に個人再生や別の選択肢が適切か」「将来の住宅取得を見据えた返済計画はどうあるべきか」といったポイントを、法的・実務的な視点から整理してもらうことができます。

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債務整理実績1万5821(2019年4月調べ)

その実績が認められ、日経産業新聞に掲載されました。(2012年4月27日)

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