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任意整理(債務整理)中にやってはいけない行動とは?注意点を解説

任意整理の手続き中は、返済負担を軽くして生活を立て直すための大切な期間です。

しかしこの時期に、クレジットカードの新規契約や借り入れ、保証人契約などをしてしまうと、和解が無効になったり、再び借金が膨らむリスクがあります。中には、意図せず「やってはいけない行動」を取ってしまい、手続きが振り出しに戻るケースも否定できません。

この記事では、任意整理中に避けるべき行動とその理由、もしやってしまった場合の対処法を解説します。

任意整理とは?手続きの流れと基礎知識

借金の返済が厳しくなったとき、「任意整理」は自己破産を避けながら負担を軽減できる代表的な手段です。弁護士や司法書士が債権者と交渉し、利息のカットや返済期間の見直しを行うことで、無理のない返済計画を立て直すことができます。裁判所を通さずに手続きできるため、手軽で生活への影響も比較的少ないのが特徴です。まずはその基本的な仕組みから、一緒に確認していきましょう。

任意整理の仕組みと他の債務整理との違い

任意整理は、借金の返済条件を、債権者(お金を貸している会社)と直接話し合って見直す手続きです。裁判所を通さないため、プライバシーが守られやすい点が大きな特徴です。手続きも比較的シンプルに進められます。

他の債務整理と比べてみると、任意整理の良さがよりはっきり見えてくるでしょう。個人再生や自己破産は裁判所が関わる法的な手続きで、官報に名前が載るため、周囲に知られるリスクが高くなってしまうことも考えられます。一方、任意整理は当事者同士の話し合いが主体です。家族や職場に知られる可能性を最小限に抑えられるのは、あなたにとって大きな安心材料になるかもしれません。

ただ、任意整理には「できること」と「できないこと」があります。元本を大きく減らすことはあまり期待できません。主に、これから発生する利息(将来利息)をカットしたり、返済期間を長くしたりして、月々の負担を軽くするのが中心です。つまり、安定した収入があって、3年から5年程度で完済できる見込みがある方に向いている手続きだと言えるでしょう。

この特性を理解せずに手続きを進めると、「思っていたのと違う…」と途中で行き詰まってしまうことも考えられます。任意整理は、債権者との信頼関係があって初めて成り立つ合意です。一度決めた返済計画をしっかり守ることが、何よりも大切になってきます。

手続きの流れと期間の目安

任意整理の手続きは、一般的に3か月から6か月程度で完了することが多いです。まずは弁護士や司法書士に相談して依頼するところから始まります。専門家が各債権者に「受任通知」を送ってくれるので、この時点で借金の取り立てが一旦ストップします。これは、あなたにとって大きな安堵につながるかもしれません。

次に、あなたの正確な借金残高や、これまでの取引履歴を調査します。もし過去に利息制限法を超える高い金利を支払っていた場合は、「引き直し計算」によって過払い金が戻る可能性も出てきます。

その後、いよいよ各債権者との交渉が始まります。将来利息のカットや返済期間の延長などについて話し合い、お互いが納得できる返済計画を立てていく段階です。この交渉期間は、手続き全体の中で一番時間がかかる部分かもしれません。債権者によっては、なかなか厳しい条件を提示してくることもあるため、専門家の腕の見せ所とも言えます。

最終的に和解契約が成立すると、新しい返済計画に基づいた支払いがスタートします。通常は翌月から、3年から5年かけて完済を目指していくことになります。

この一連の流れの中で、忘れてはならない大切なポイントがあります。それは、手続きが始まった時から返済を終えるまで、一貫して誠実な行動を心がけることです。債権者は、あなたの返済に対する真摯な姿勢を常に見ています。もし不適切な行動が発覚してしまえば、交渉が難航したり、せっかくの合意が取り消されたりする恐れもありますから、注意が必要です。

任意整理中に行動が制限される理由

任意整理中に、なぜ特定の行動が制限されるのでしょうか?それは、手続きの性質と、債権者との信頼関係が深く関係しているからです。

一番大きな理由は、任意整理が「誠実な返済意思に基づく合意」だからです。債権者は、法的に強制されるわけではないのに、あなたの返済条件を緩和してくれるのです。そのため、私たちもそれに見合うだけの誠意を示す必要があります。例えば、手続きの途中で新しくお金を借りてしまえば、「本当に借金を返済する気があるのか?」という疑問を持たれても仕方ありません。

また、任意整理の返済計画は、あなたの現在の経済状況(収入や支出)を前提に立てられています。もし手続き開始時に申告した状況が大きく変わってしまえば、合意した返済計画そのものが成り立たなくなってしまう可能性も出てくるわけです。

さらに、信用情報機関への登録という制約も忘れてはいけません。任意整理をすると、あなたの信用情報に「事故情報」が記録されます。これが、いわゆる「ブラックリストに載る」という状態です。この期間中は、新しくお金を借りたり、クレジットカードを利用したりするのが実質的に難しくなります。この状態を理解せずに無理な行動を取ってしまうと、かえって状況を悪化させてしまうことにもつながりかねません。

制限があるからといって、何もかも萎縮する必要はありません。しかし、どの行動がなぜ問題になるのかを前もって理解しておくことで、手続きをスムーズに進めることができます。困ったことや疑問に感じることがあれば、専門家と密に連絡を取り、早めに相談することが大切です。

任意整理中に絶対やってはいけないこと

任意整理の手続き中は、借金問題を根本から解決するために、再スタートする期間です。

しかし、この時期に新たな借入れや滞納があると、和解の破棄や手続き失敗につながるおそれがあります。

ここでは、任意整理中に「これだけは絶対に避けてほしい」というNG行為とその理由を解説していきます。

新たな借入を行うこと

任意整理中に一番やってしまいがちで、そして一番危険なのが、新しくお金を借りることです。「少しだけなら…」「今月だけピンチだから…」という、その気持ちは痛いほど分かりますが、この行動が任意整理そのものを台無しにしてしまう可能性があります。

なぜなら、任意整理は「今の借金を整理して、無理のない範囲で完済を目指す」ための手続きだからです。その最中に新しく借金を作ってしまうと、債権者は「本当に返済する気があるのか?」「また同じことを繰り返すのでは?」という不信感を抱いてしまいます。結果として、和解交渉が決裂してしまうことも考えられます。

さらに、任意整理中は信用情報に事故情報(ブラックリスト)が記録されています。この状態では、正規の金融機関からお金を借りるのは、まず無理だと考えてください。もし借りられたとしても、それは違法な高金利の闇金業者である可能性が非常に高く、状況をさらに悪化させてしまうだけです。もしどうしても資金が必要になったら、まずは担当の弁護士や司法書士に相談してください。適切な対処法を一緒に考えてくれるはずです。

和解後に返済を滞納すること

債権者との和解が成立し、新しい返済計画がスタートしたら、その返済を滞納することは絶対に避けてください。これは単なる「返済の遅れ」ではなく、非常に深刻な問題につながってしまいます。任意整理では、和解が成立したら、その和解契約書の内容に基づいて返済を続ける必要があるからです。

和解契約には通常、「期限の利益喪失条項」というものが含まれています。これは、約束した返済を2回連続で滞納したり、3か月程度の遅延が生じたりすると、残っている借金すべてを一括で返済しなければならなくなる、という内容です。例えば、月々3万円の返済で合意していても、滞納で期限の利益を失えば、残りの150万円を一括で支払う義務が発生してしまうのです。

そして、何よりも深刻なのは、債権者との信頼関係が完全に壊れてしまうことです。任意整理は、裁判所を通さない「話し合いによる解決」ですから、お互いの信頼が土台となっています。一度でも約束を破ってしまうと、同じ債権者との再交渉は非常に難しくなります。その結果、最終的には自己破産や個人再生といった、より厳しい手続きを選ばざるを得なくなる可能性も出てきます。

闇金業者からお金を借りること

任意整理中に金銭的に困窮してしまい、つい「闇金」と呼ばれる違法な業者に手を出してしまうケースが後を絶ちません。ですが、これは最も危険で、あなたの人生を台無しにしてしまう行為ですから、絶対に避けてください。

闇金の利息は、「10日で1割(年利365%)」や「10日で3割(年利1095%)」といった、法外なものが当たり前です。例えば10万円借りたとしても、1か月後には13万円、2か月後には約17万円といった具合に、あっという間に膨れ上がってしまいます。この利息は複利で雪だるま式に増え続け、元本を返すことなど、まず不可能な仕組みになっているのです。

さらに恐ろしいのは、闇金業者の取り立てです。深夜早朝を問わない電話、職場や家族への嫌がらせ、近隣住民への迷惑行為など、あなたの社会生活を徹底的に破壊しようとしてきます。これらの被害は、任意整理の成功を阻むだけでなく、あなたやご家族の人生を本当にめちゃくちゃにしてしまうことになります。

どんなに困っても、闇金から借りるのは絶対にやめてください。正規のルートで解決策を探すことが何よりも大切です。

債権者への連絡を怠ること

任意整理中に債権者からの連絡に対応しなかったり、必要な書類の提出を忘れてしまったりすることも、実は重大なNG行為です。弁護士や司法書士に依頼している場合は、基本的に専門家が対応してくれます。しかし、あなた自身の確認が必要な場面や、書類の提出が必要な時には、迅速で誠実な対応が求められます。

連絡を怠ると、「返済の意思がないのでは?」「交渉に真剣ではないな」という印象を債権者に与えてしまい、和解交渉が難航したり、最悪の場合は決裂したりする原因となります。特に、収入証明書や家計収支表といった必要書類の提出が遅れると、「本当に返済能力があるのか?」と疑念を持たれ、より厳しい条件を提示される可能性も高くなります。

また、任意整理中に収入状況や生活環境に変化があった場合は、すぐに弁護士や司法書士、そして債権者に報告することが必要です。転職や病気による収入減、家族構成の変化などは、返済計画に直接影響します。隠していても後で必ず発覚し、信頼関係を大きく損なってしまう結果になりますから、透明性と誠実さを保つことが重要です。

収入の虚偽申告

借入の審査を通りやすくするために、実際よりも多い年収を申告してしまう、これも絶対に避けてほしい危険な行為です。これは「ちょっとした嘘」では済みません。法的な問題に発展する可能性のある、深刻な行為だと考えてください。

金融機関は審査の過程で、給与明細書や源泉徴収票を確認したり、場合によってはあなたの勤務先に在籍確認をしたりします。もし虚偽申告をしてしまえば、これらの確認作業で必ずバレてしまうでしょう。発覚すれば、その時点で審査は即座に否決されるばかりでなく、あなたの「信用情報に虚偽申告の記録」が残ってしまう可能性があります。

特に任意整理中の方は、すでに信用情報に事故情報が記録されている状態です。そこに虚偽申告の記録まで加わってしまうと、将来、正常な金融取引を行うことが非常に困難になってしまいます。例えば、任意整理が終わってクレジットカードを作りたい時や、住宅ローンを組みたい時に、この虚偽申告の記録が大きな障害となって立ちはだかるかもしれません。

悪質と判断されれば、詐欺罪に問われる可能性もゼロではありません。たとえ借りたお金を返すつもりがあったとしても、虚偽の情報で契約を結ぶ行為自体が問題視されることもあります。

複数業者への同時申込み

お金が必要な状況だと、「とにかくどこか一社でも通ればいいから」と複数の業者にまとめて申し込んでしまう気持ちも、よく分かります。しかし、この「申込みブラック」と呼ばれる状態は、逆に審査が通る可能性を大きく下げてしまう危険な行為です。

信用情報機関には、あなたが「どこに」「いつ」申し込みをしたかという記録がリアルタイムで残されています。金融機関は審査の際にこの情報を必ず確認しますから、短期間に複数の申し込みがあると、すぐに把握できてしまうのです。この状況を見た金融機関は、「この人は相当お金に困っているな」「計画性がなく、手当たり次第に借りようとしているな」と判断し、リスクの高い顧客として警戒してしまいます。

一般的に、1か月以内に3社以上への申し込みがあると、「申込みブラック」の状態とみなされることが多いです。そうなると、その時点での審査通過は非常に難しくなります。任意整理中という状況も重なると、ほぼ確実に審査は否決されてしまうはずです。

さらに厄介なのは、この申し込み記録が半年間も保持されることです。つまり、一度申込みブラックになってしまうと、半年間は新しい借入がさらに困難な状況が続くことになります。本当に必要な時に借入ができなくなる可能性も高まりますから、注意してください。

しつこい問い合わせ

審査結果がなかなか出ない時や、一度断られた後に「何とかならないか」と電話やメールで頻繁に問い合わせをする行為も、金融機関からの印象を悪くしてしまう危険な行動です。

金融機関では、顧客からの問い合わせ内容や頻度も記録として残されています。しつこい問い合わせは、「常識に欠ける顧客」「トラブルになりやすい人物」という印象を与え、今後の取引全般に悪影響を及ぼす可能性があります。特に「もう少し融資枠を増やしてもらえないか」「なぜ審査に落ちたのか詳しく教えてほしい」といった内容を繰り返し問い合わせることは、相手企業にとって迷惑行為と受け取られてしまうかもしれません。

また、一度審査に落ちた業者に対して、短い期間で再申込みをすることも避けるべき行為です。金融機関では、「一度断った理由が改善されていない限り、結果は変わらない」という考え方が基本です。むしろ、再申込みをすることで「状況判断ができない人物」という負のイメージを与えてしまう可能性が高いでしょう。

問い合わせをする場合は、必要最小限の内容に留め、相手の回答を素直に受け入れる姿勢が大切です。感情的になったり、執拗に食い下がったりする行為は、あなた自身の信用を大きく損なう結果しか生みませんから、冷静に対応してください。

対象外の債権者への優先弁済(偏頗弁済)

任意整理では、通常、すべての債権者を平等に扱って返済条件を交渉します。ただし、任意整理は裁判所を介さない手続きのため、法律上、特定の債権者(例えば、親族や友人、あるいは「迷惑をかけたくない」という思いのある会社)を整理対象から外し、優先して返済すること自体は違法ではありません。

しかし、任意整理の最中や直後に個人再生や自己破産などの法的整理へ方針転換した場合、それまでに特定の債権者へ優先的に返済した行為(偏頗弁済)は、「債権者平等の原則」に反するとして問題となる可能性があります。この場合、裁判所で免責や減額が認められなかったり、返済のやり直しを求められたり、手続きが不利になるリスクがあります。​

特に、親族や友人からの借金は感情的に優先して返済したくなることも多いですが、今後破産や再生を検討する可能性がある場合は、必ず専門家に正直に相談し、適切な手続きをとることが重要です。状況に応じて最善の対応を選択しましょう。

ギャンブルや投資への資金投入

任意整理中は、借金を根本的に解決し、経済的な再建を目指す大切な期間です。この時期に、ギャンブルや投機的な投資に資金を投入することは、絶対に避けるべき行為だと考えてください。

「一発逆転で借金を返したい」という気持ちが芽生えることもあるかもしれませんが、ギャンブルや投機は、あなたの経済状況をさらに悪化させる可能性が非常に高いです。もし新たな借金を作ってしまったり、返済資金を失ってしまえば、任意整理の計画そのものが破綻してしまいます。債権者からの信頼も大きく損なわれてしまうでしょう。

また、専門家は、あなたの家計収支を元に返済計画を立てています。もしギャンブルや投資に多額の資金を使っていることが発覚すれば、「本当に返済に誠実に向き合っているのか」と疑念を持たれてしまうかもしれません。

任意整理中は、堅実に収入を得て、着実に返済を進めることが何よりも重要です。一時の誘惑に負けず、将来の安定した生活のために、地道な努力を続けていくことが成功への道筋となります。

任意整理中の生活はどうなる?制限事項と対処法

任意整理の手続きを始めると、「日常生活にどんな影響が出るのか?」と不安を感じる方も多いでしょう。

たとえば、クレジットカードの利用停止や新たな借入制限、ローン審査への影響など、一定の制約が発生します。しかし一方で、生活を立て直すチャンスでもあります。

ここでは、任意整理中の生活で起こる主な制限事項と、その対処法を解説します。

ブラックリスト期間中の基本的な制約と対処法

任意整理を始めると、あなたの信用情報機関(CIC、JICC、KSCなど)にその情報が登録されます。これが一般的に「ブラックリストに載る」と呼ばれる状態です。この状態は、完済から約5年間続くことが多いでしょう。もし返済期間が長引けば、その分だけブラックリスト期間も延長されることになります。

この期間中、主に次のような制約が発生します。

・新たな借入やクレジット契約
銀行や消費者金融からの融資、住宅ローンや自動車ローンなどの契約は困難です。  現金払いに切り替えたり、デビットカードを利用したり、家族名義でのローンを検討しましょう。
・携帯電話の端末代金の分割購入
端末代の分割払いはクレジット契約とみなされるため、審査に通らない可能性があります。  端末を一括で購入するか、中古端末を現金で購入する方法があります。
・賃貸住宅の契約(保証会社利用時)
信販系の保証会社(オリコ、ジャックス、セディナなど)は信用情報を確認するため、審査に通らない場合があります。  不動産会社に「信販系以外の保証会社を利用したい」と伝えるか、連帯保証人を立てることで対応できます。

クレジットカードが使えな場合の代替案

クレジットカードが使用できなくなることは、任意整理中に最も大きな変化と感じるかもしれません。たとえ任意整理の対象に含まれていないクレジットカードであっても、定期的な審査(途上与信)によって利用停止となる可能性が高いからです。そして、新しいクレジットカードの発行も困難になります。

しかし、現代社会においてキャッシュレス決済は欠かせません。そこで、代替手段をご紹介します。

・デビットカード
銀行口座から即座に引き落とされる仕組みのため、信用情報に関係なく発行できます。  クレジットカードと同様に、オンラインショッピングや店舗での決済にも広く利用できます。
・プリペイドカード
事前にチャージした金額内でのみ利用できるため、使いすぎの心配がありません。  家計管理にも役立ち、バンドルカード・LINE Payカード・au PAYプリペイドカードなど、審査不要で発行できるカードが多くあります。
・各種電子マネー・スマホ決済
PayPay、楽天ペイ、d払いなどのサービスも利用できます。  銀行口座からの即時引き落としやチャージ式のため、信用情報に影響されずに使えるのがメリットです。  

実際に、任意整理経験者の多くの方が、これらの代替手段を上手に組み合わせることで、特に不便を感じることなく日常生活を送っていらっしゃいます。

各種ローンの審査が通らない理由

任意整理中にローン審査が通らないのは、金融機関のリスク管理体制によるものです。銀行や信販会社、消費者金融などの貸金業者は、融資の際に必ず個人信用情報機関のデータベースを照会します。そこで、あなたの過去の借入・返済履歴、現在の債務状況、そして債務整理の有無を確認するからです。

任意整理の情報が登録されていると、金融機関は「返済能力に問題がある」「貸し倒れリスクが高い」と判断し、融資を断るのが一般的です。これは、住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなど、すべてのローン商品に共通していることです。金融機関にとって、過去に債務整理を行った顧客への融資は、経営判断として避ける傾向があります。

特に住宅ローンの場合、審査基準が最も厳格です。年収や勤続年数などの条件を満たしていても、信用情報に問題があると審査に通ることは、まずありません。自動車ローンも同様で、ディーラーローンや銀行系のマイカーローンは利用できないでしょう。

ただし、完全に選択肢がないわけではありません。例えば、自動車の購入であれば、現金一括購入を検討したり、信用情報を確認しない個人売買の形を取ったり、家族名義での購入を相談してみる方法もあるでしょう。また、住宅については、任意整理完済後5年が経過してブラックリスト期間が終われば、再び住宅ローンの申し込みが可能になります。その際は、安定した収入を証明した上で、十分な頭金を用意することも、審査通過の可能性を高める方法のひとつです。

大きな契約・購入時の注意点

任意整理中に大きな契約や購入を検討する際は、事前の準備と情報収集が欠かせません。特に注意が必要なのは、一見すると信用情報とは関係なさそうな契約でも、実際には信用審査が行われる場合があるからです。

賃貸住宅の契約では、保証会社の種類を必ず確認しましょう。信販系の保証会社(オリコやジャックス、セディナなど)は信用情報を確認するため、審査に通らない可能性があります。一方、独立系やLICC系の保証会社であれば、信用情報よりもあなたの収入や勤務先を重視することが多いため、安定した収入があれば問題なく契約できるケースも多いです。

携帯電話の機種変更や新規契約時にも注意が必要です。端末代金を分割で購入する場合は「割賦販売法」に基づく審査が行われます。高額な端末ほど審査に通りにくいことが予想されますが、通話プランの契約自体には影響しませんので、端末は一括で購入するか、比較的安価なモデルを選択することで対応できます。

生命保険や自動車保険の契約には基本的に影響しませんが、保険料の支払い方法に制限が生じる場合があります。クレジットカード払いができないため、口座振替や現金払いを選択することになるでしょう。

さらに、お子さんの教育費や医療費など、予期しない大きな出費に備えて、ご家族や親族との資金調達方法について事前に話し合っておくことも重要です。緊急時に慌てることなく、適切な対応ができるよう準備しておくと安心です。

任意整理は一時的な制限であり、計画的に返済を進めることで、将来的には通常の金融サービスを利用できるようになります。もし、このような制限や注意点について不安を感じられるようでしたら、任意整理を依頼した弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

もし「やってはいけないこと」をしてしまったら?

任意整理中にもかかわらず、もし新しく借金をしてしまったり、約束した返済を滞納してしまったりすると、「やってしまった…」と後悔する瞬間があるかもしれません。そんな時こそ、パニックにならず、適切な対処をすることが何より重要です。大切なのは、問題が起きた時にいかに早く、そして適切に行動するかどうかです。

新たに借入してしまった場合

任意整理中にクレジットカードを使ったり、新たにお金を借りてしまったりした場合、まずは冷静になることが大切です。すでに借りてしまったお金は元には戻せませんが、これ以上状況を悪化させないために行動しましょう。

最初にすべきことは、借入の詳細を正確に把握することです。どこから、いくら借りて、返済条件はどうなっているのか。これを整理し、現在の返済計画にどの程度影響があるのかを客観的に見てみましょう。

次に、担当している司法書士や弁護士に速やかに連絡を入れてください。専門家は、「また借りてしまいました」という報告を聞いて、あなたを責めるためではなく、新たな解決策を見つけるために話を聞いてくれます。隠してしまうことで問題がさらに複雑化し、最終的にはより大きな困難に発展する可能性もありますから、正直に伝えることが大切です。

もし、まだ専門家に依頼していない場合でも、消費生活センターや法テラスなどの公的な相談窓口を活用することをおすすめします。

返済を滞納してしまった時

任意整理で決めた返済計画を守れなくなった時、滞納してしまった事実よりも、その後どう行動するかのほうが、はるかに重要だということを覚えておいてください。

滞納が発生したら、できる限り早い段階で債権者、または担当の専門家に連絡を入れることが必要です。「お金がないから連絡できない」と考えてしまう方もいらっしゃいますが、連絡を取らないことで信頼関係が悪化し、最悪の場合は任意整理の合意が破棄されてしまう可能性もあります。

連絡する際は、滞納の理由を正直に説明し、いつ頃から返済を再開できるかの見通しを伝えましょう。例えば、「今月は医療費で予定外の出費があったため、来月から通常の返済に戻れます」といった具体的な説明をすることで、債権者側も状況を理解しやすくなります。

一時的な滞納であれば、多くの場合、返済計画の微調整で対応できるものです。しかし、もし根本的に返済能力に変化があった場合(収入が減った、支出が増えたなど)は、返済計画そのものの見直しが必要かもしれません。この判断は専門知識が必要ですから、早めに専門家に相談することをおすすめします。

闇金から借りてしまった場合

もし闇金業者からお金を借りてしまった場合は、他のケースとは異なり、極めて緊急性の高い対応が必要です。闇金業者は法外な利息を要求し、暴力的な取り立てを行う可能性があるため、一刻も早く専門家に相談しなければなりません。

まず、あなたに理解しておいていただきたいことがあります。それは、闇金業者との契約は法的に無効であり、元本を含めて一切の返済義務がない、ということです。「借りたものは返さなければ」という責任感から返済を続けてしまう方もいらっしゃいますが、これは法的に間違った認識です。

闇金業者への対応は、一般の方が個人で行うことは非常に危険です。彼らは法律を無視して営業しており、通常の交渉や説得は通用しないでしょう。弁護士や司法書士などの専門家が介入することで、法的な手続きを通じて闇金業者との関係を断ち切ることができます。

連絡が取れなくなることを避けるため、闇金業者からの督促があっても、専門家に相談するまでは返済や連絡は控えることをおすすめします。専門家が介入すれば、多くの場合、闇金業者は手を引くことになります。警察への相談も選択肢の一つですが、民事と刑事の両面からのアプローチが効果的なため、まずは法律の専門家にご相談ください。

公的支援制度を活用した資金調達

任意整理中であっても、国や自治体が用意している公的支援制度は利用できます。これらの制度は営利目的ではないため、一般的な金融機関よりも、あなたの状況に寄り添った利用しやすい条件が設定されていることが多いです。

【生活福祉資金貸付制度】

低所得世帯・高齢者世帯・障害者世帯を対象とした貸付制度です。

・緊急小口資金:最大10万円
・総合支援資金:単身世帯で月15万円以内
・相談先:市区町村の社会福祉協議会  

連帯保証人ありなら無利子、なしでも年1.5%と低金利で利用できます。

【母子父子寡婦福祉資金】

ひとり親家庭を対象とした貸付制度です。

・生活資金:月額10万3,000円以内
・技能習得資金:月額6万8,000円以内
・相談先:市区町村の福祉担当窓口  

無利子または年1.0%という低金利で利用可能 です。

【勤労者生活支援特別融資】 

都道府県や市区町村が実施する、勤労者の生活安定を目的とした融資制度です。 

・自治体ごとに条件は異なる
・年収制限内であれば利用しやすく、年2〜3%程度の低金利で借入可能
・相談先:各自治体の労働相談窓口  

【住居確保給付金】

住まいを失う恐れのある方や、すでに失った方を対象に家賃相当額を支給する給付型制度です。  

・返済不要なのが大きなメリット
・相談先:市区町村の生活困窮者自立支援窓口  

【生活保護】 

経済的に困窮している方を対象に、健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度です。  

・給付型で返済の必要はありません
・相談先:市区町村の福祉担当窓口  

これらの制度は、あなたの状況を救ってくれる心強い味方です。ただし、審査があり、手続きに時間がかかる場合もありますから、早めの相談と申請が大切です。

専門家へ相談すべきタイミング

「専門家に相談すべき」とよく言われますが、具体的にどのタイミングで相談すればよいのか迷う方も多いでしょう。基本的には、「これ以上一人では対処できない」と感じた時が、まさに相談のタイミングです。

例えば、次のような状況になったら、すぐに専門家の介入が必要です。

・月々の返済額が収入の3分の1を超えるようになった時
・複数の債権者から同時に督促を受けるようになった時
・ご家族関係や仕事に影響が出始めた時
・任意整理中に新たな問題が発生した場合(収入の大幅な減少、家族の病気による医療費の増加、勤務先の倒産など)

専門家への相談は「失敗を報告する場」ではなく、「新たな解決策を見つける場」だと考えてください。経験豊富な専門家であれば、あなたと同じような状況を経験した方をたくさん見てきています。状況に応じた適切な選択肢を提案してくれるはずですから、一人で抱え込まずに相談することで、現在の困難を乗り越え、より安定した生活を築くための道筋を見つけることができるでしょう。

 

まとめ

任意整理は、確かに一時的な制限やデメリットもあります。しかし、多くの方にとって借金問題を解決し、新しい人生を歩むための、とても有効な手段の一つです。信用情報への影響や新たな借入れの制限など、生活に変化をもたらす側面はありますが、これらはあくまで一時的なものです。

重要なのは、あなたの具体的な状況に合わせて、それぞれに最適な解決方法を見つけることです。収入や借入額、家族構成、将来の計画等、一人ひとりの事情は異なりますから、教科書的な情報だけでは判断が難しい場合も多いでしょう。

もし今、任意整理について「これで本当に大丈夫かな?」「もっと良い方法があるんじゃないか?」と悩みがある方は、ぜひ一度専門家に相談してみることをおすすめします。弁護士や司法書士は、あなたの状況を詳しく聞いた上で、任意整理が本当に適しているのか、他にあなたの状況により良い選択肢がないか、一緒に考えてくれるはずです。

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債務整理実績1万5821(2019年4月調べ)

その実績が認められ、日経産業新聞に掲載されました。(2012年4月27日)

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債務整理とは、債務者が多額の借金を抱えた場合、多重債務に陥ってしまった場合に、借金を確実に返済することです。債務整理とひとくちに言っても、任意整理・個人民事再生・自己破産・過払い請求・特定調停と、その方法は様々。お客様の借金の総額や取引年数、現在の収入資産などに応じて最適な解決方法をご提案いたします。

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