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任意整理(債務整理)後に賃貸契約はできる?賃貸借契約の更新と審査への影響を解説

Last Updated on 2026年2月21日 by 監修者:司法書士 藤田太

任意整理をすると、「今住んでいる賃貸は更新できるのか」「これから部屋を借りるときに審査に通らなくなるのではないか」と不安に感じる方は少なくありません。結論からいえば、任意整理をしたからといって直ちに退去を求められるわけではありませんが、契約形態や保証会社の有無によっては注意が必要なケースもあります。この記事では、任意整理後の賃貸借契約への影響、更新時のポイント、新規契約時の審査との関係について解説します。

任意整理後でも賃貸契約は本当にできる?可否とNGパターン

任意整理を終え、新しい生活を始めたいと考えたとき、「自分は賃貸住宅の契約の審査に通るのだろうか」と不安になる方は少なくありません。結論から言えば、任意整理をしたという事実だけで、法律上、賃貸契約ができなくなることはありません。ただし、信用情報に事故情報が登録されるため、信販系の保証会社を利用する物件では審査に影響する可能性があります。一方で、信用情報を参照しない保証会社や、保証人を立てることで契約できるケースもあります。ここでは、任意整理後の賃貸契約の可否や審査への影響、注意すべきNGパターンについて解説します。

任意整理が与える信用情報への具体的な影響

任意整理を行うと、信用情報機関に「債務整理(異動情報)」として登録されるのが一般的です。登録先は、主にCIC(シー・アイ・シー)JICC(日本信用情報機構)で、取引内容によっては全国銀行個人信用情報センター(KSC)に情報が共有される場合もあります。

この異動情報は、一般的には完済から5年程度残るとされており、いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれる状態に該当します。

では、この信用情報が賃貸契約にどう影響するのでしょうか。

まず重要なのは、大家さんや不動産会社が信用情報機関(CIC・JICC等)を直接照会できるわけではないという点です。したがって、任意整理をした事実がそのまま大家に伝わるわけではありません。

しかし現在の賃貸契約では、家賃保証会社を利用するケースが多く、審査のカギを握るのは保証会社です。保証会社の審査方法は会社ごとに異なり、信用情報機関を参照する場合もあれば、家賃滞納履歴や収入状況を中心に判断する場合もあります。

特に注意が必要なのは、信販系(クレジットカード系)の保証会社です。信販系保証会社は信用情報を参照することが多く、任意整理の記録が残っている間は審査に通りにくくなる傾向があります

一方で、信用情報機関を必ずしも参照しない保証会社や、独自の基準で判断する保証会社もあり、こうした保証会社が利用できる物件であれば、任意整理後でも賃貸契約が成立する可能性は十分にあります。

つまり、任意整理後の賃貸契約は「任意整理をしたから絶対に借りられない」のではなく、どの保証会社を利用する物件かによって結果が大きく変わるという点が重要です。

賃貸契約で審査落ちする典型例と理由

任意整理後に賃貸契約の審査に落ちてしまうケースには、いくつか共通するパターンがあります。ここでは、よくある失敗例とその理由を整理しておきましょう。

信販系(クレジットカード系)の保証会社を利用する物件に申し込んだ

最も多いのが、信販系保証会社を利用する物件に申し込んでしまうケースです。信販系保証会社は、審査の際に信用情報機関(CIC・JICCなど)を照会することが多く、任意整理の記録が残っている間は審査が厳しくなる傾向があります。

代表例としては、以下のような保証会社です。

・オリコフォレントインシュア
・ジャックス
・エポスカード など

このタイプの物件では、審査に通りにくい場合があるため注意が必要です。

家賃が収入に対して高すぎる

次に多いのが、希望する家賃が収入に見合っていないケースです。 一般的に家賃は「月収の3分の1以内」が目安とされています。

ただし任意整理中は返済も続くため、

・「家賃を払う余力が少ない」
・「生活が不安定になりやすい」

と判断され、審査で不利になる可能性があります。

勤続年数が短い・雇用形態が不安定

任意整理の有無に関わらず、以下の条件は審査で不利になりやすいです。

・勤続年数が短い(転職直後など)
・アルバイト・契約社員など非正規雇用
・収入に波がある仕事(フリーランス等)

保証会社は「安定して家賃を払えるか」を重視するため、慎重に判断されることがあります。

申込書の記入ミス・情報の不一致

意外と見落とされがちなのが、申込書の記入ミスや書類との矛盾です。

例えば、

・年収の記載が給与明細と違う
・勤務先名や電話番号の誤記
・住所や家族構成の入力ミス

などがあると、虚偽申告を疑われ、審査が止まる可能性があります。

連帯保証人を立てられない

保証会社を使わない物件では、連帯保証人が必要になることもあります。
その場合、保証人にも一定の条件が求められるため、

・親族に頼めない
・親族が高齢・無職
・年金収入のみで保証が難しい

といった事情があると、契約できる物件が狭まることがあります。

審査落ちしやすい人の共通点

これらのケースに共通するのは、「不利な条件が複数重なるほど審査が厳しくなる」という点です。

任意整理の履歴に加えて、

・家賃が高い
・収入が低い
・勤続が短い
・保証人がいない

といった要素が重なるほど、審査落ちの可能性は上がりやすくなります。

任意整理者の賃貸契約における一般的な傾向

任意整理後でも賃貸契約ができるケースは少なくありません。実際には、保証会社の種類や物件選びによって結果が大きく変わる傾向があります。

① 保証会社の種類が重要

最も現実的なのは、信用情報を必ずしも重視しない保証会社を利用する物件を探すこです。

保証会社にはさまざまなタイプがあり、

・信用情報機関を照会する会社
・家賃滞納履歴や収入状況を重視する会社
・独自基準で総合判断する会社

など、審査基準は一律ではありません。

そのため、

・正社員である
・勤続年数が一定期間ある
・家賃が収入に見合っている

といった条件が整っていれば、任意整理後でも契約できる事例は多く見られます。

② 保証会社を使わない契約という選択肢

地域密着型の不動産会社や個人オーナー物件では、保証会社を利用せず、連帯保証人のみで契約できるケースもあります。

この場合、基本的には信用情報機関への照会は行われません。ただし、保証人には安定した収入などの条件が求められることが多いです。

③ 初期費用を多めに提示するケース

敷金を多めに預けたり、前家賃を複数月分支払ったりすることで、支払い能力をアピールする方法もあります。

ただし、これは保証会社の内部審査基準を変更するものではなく、あくまで交渉材料の一つと考えるのが適切です。

④ 不動産会社への事前相談は有効

物件探しの段階で、

「信販系保証会社は避けたい」
「信用情報を重視しない物件を探したい」

と伝えておくことで、審査に通りやすい物件を紹介してもらえる可能性があります。

無駄な審査落ちを防ぐ意味でも、事前相談は有効な手段です。

⑤ 妥協が必要な場合もある

人気エリアの新築物件や駅近物件では、信販系保証会社が前提になっていることもあります。

その場合、

・築年数
・立地
・設備

などで多少の調整や妥協が必要になるかもしれません。

任意整理後の賃貸契約は、

・どの保証会社を利用する物件か
・収入や勤続状況
・家賃の妥当性

といった要素によって左右されます。

任意整理をしたから「借りられない」と決まっているわけではありません。戦略的に物件を選べば、契約できる可能性は十分にあります。

任意整理後に賃貸審査を通過するための具体的な方法

任意整理後、「賃貸の審査に通るのか」と不安になる方は少なくありません。結論として、任意整理をしただけで賃貸契約が一律にできなくなるわけではありません。ただし、物件で利用する保証会社の審査方式によっては、信用情報の影響を受ける場合があります。ここでは、任意整理後の賃貸契約について、審査を通過するためにできる対策について解説します。

信販系・LICC系・LGO系保証会社の審査基準と対策

任意整理後に賃貸契約を結ぶ際、重要になるのが「どの保証会社を利用する物件か」ということです。現在の賃貸契約では家賃保証会社の利用が一般的で、保証会社ごとに審査基準が異なるため、結果も大きく変わります。

① 信販系(クレジット系)保証会社

信販系保証会社は、審査時にCICやJICCなどの信用情報機関を照会することが多く、任意整理の情報が登録されている期間は審査が厳しくなる傾向があります。

代表例:

・オリコフォレントインシュア
・ジャックス
・エポスカード など

※ただし、審査基準は会社ごとに異なり、必ず否決されるわけではありません。

② LICC加盟・LGO加盟の保証会社

LICC(全国賃貸保証業協会)やLGO(賃貸保証機構)に加盟している保証会社の中には、家賃滞納履歴や現在の収入状況を重視する会社もあります。

ただし、「加盟=信用情報を一切見ない」 という意味ではありません。

保証会社ごとに審査基準は異なるため、「信用情報だけで判断しない可能性がある」ということも理解しておきましょう。

③ 審査を通しやすくするための対策

任意整理後に賃貸審査を通すためには、以下のような準備をおすすめします。

・家賃を月収の3分の1以内に抑える
・勤続年数をできるだけ安定させる
・正確な収入証明書類を提出する
・不動産会社に事前相談し、保証会社の種類を確認する

任意整理をしたからといって、賃貸契約が法律上できなくなるわけではありません。

 重要なのは、

・どの保証会社を利用する物件か
・現在の収入や支払い能力
・家賃設定が適切か

といったポイントです。

保証会社の審査傾向を理解し、戦略的に物件を選ぶことをおすすめします。

収入の安定を証明する

任意整理後に賃貸審査を通過するためには、現在の支払能力を客観的資料で示すことが重要です。

任意整理をすると、一定期間、信用情報機関に事故情報として登録されます(いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれる状態)。
そのため、保証会社や貸主は、「毎月安定して家賃を支払えるか」という点を特に重視します。過去よりも「現在の支払能力」を丁寧に証明することが、審査通過のポイントです。

① 給与明細書の提出(会社員の場合)

まず基本となるのが、収入証明書類の提出です。

提出例

・直近2〜3か月分の給与明細
・源泉徴収票
・課税証明書

特に重要なのは、

・毎月安定した収入があること
・家賃+既存の返済額を支払っても生活が維持できること

を示すことです。

なお、「家賃は月収の3分の1以内が目安」とよく言われますが、これは法律上の基準ではありません。
保証会社ごとに基準は異なりますが、家賃+既存債務の返済額を含めて、無理のない水準であることを示すことが重要です。

② 雇用の安定性を示す資料

正社員の場合、以下の資料も有効です。

・在籍証明書
・雇用契約書
・社員証のコピー

特に、

・勤続年数が1年以上
・上場企業や公的機関勤務

などは、審査上プラスに働く傾向があります(※保証会社の判断によります)。

③ 契約社員・派遣社員の場合

収入の継続性を示すことが重要です。

有効な資料例

・源泉徴収票
・課税証明書
・年収証明書

月ごとの変動があっても、年間の収入が一定水準にあることを示せれば、前向きに評価される可能性があります。

④ 預金残高の証明

預金残高を示すことも有効です。

提出例

・通帳コピー
・銀行発行の残高証明書

まとまった貯蓄がある場合、

・万一収入が減少しても一定期間家賃を支払える
・生活再建が進んでいる

という事実を示す材料にもなります。

⑤ 自営業・フリーランスの場合

自営業の方は、収入の実態を客観的に示すことが特に重要です。

提出例

・確定申告書の控え(直近2〜3年分)
・納税証明書
・取引契約書
・継続取引の請求書控え

単年だけでなく、複数年で安定していることを示せるとよいでしょう。

⑥ 任意整理後の返済状況の説明

必要に応じて、以下の資料を提出することもあります。

・弁護士・司法書士作成の返済計画書
・返済実績が分かる資料

ただし、任意整理の詳細な開示は必須ではありません。保証会社の審査基準に応じて、 「現在、計画的に返済している」ことを補足説明する形が望ましいでしょう。

【補足:法的に注意すべき点】

任意整理をした事実を虚偽申告することは避けましょう。信用情報の開示義務があるかどうかは保証会社の申込書の内容によりますが、申込書に虚偽記載をした場合、契約解除事由になる可能性があります。

任意整理は、法律上認められた正当な債務整理手続きです。それ自体が「契約できない理由」になるわけではありません。

重要なのは、

・現在の収入の安定性
・支払能力
・計画的な生活再建

を客観的資料で示すことです。

きちんと準備すれば、任意整理後でも賃貸契約は十分可能です。今の信用力を丁寧に示すことが何より大切です。

連帯保証人なしでも通る方法

以前は、賃貸契約において連帯保証人を立てることが一般的でした。しかし現在では、家賃保証会社の利用が主流となっており、連帯保証人がいなくても契約できる物件が増えています。

特に任意整理後の場合、

・家族に頼りたくない
・身内に事情を知られたくない

という理由から、連帯保証人なしでの契約を希望する方も多いかもしれません。

ここでは、現実的な選択肢を整理します。

① 保証会社利用物件を選ぶ

現在の賃貸市場では、保証会社利用が前提の物件が多数あります。

保証会社が家賃保証を行うため、連帯保証人を不要とするケースも多くなっています。

重要な注意点もあります。一部では、「特定の保証会社は信用情報を確認しない」と説明されることがありますが、保証会社ごとに審査基準は異なり、信用情報の照会有無も公開されていません。

そのため、

・「○○系なら必ず通る」
・「信用情報は見ない」

と断定することはできません。

あくまで、保証会社ごとの独自審査基準によって判断されるというのが正確な表現です。

② 初期費用を増やす

貸主のリスクを軽減する方法として、

・敷金を多めに支払う
・前家賃を数か月分先払いする

といった対応が有効な場合があります。これは法律上の義務ではありませんが、貸主との合意によって条件を調整できる可能性があるからです。

特に、

・現在は安定収入がある
・支払意思が明確である

ことを示すことができれば、交渉次第で貸主が柔軟に対応してくれるかもしれません。

③ UR賃貸住宅という選択肢

UR賃貸住宅(都市再生機構)は、

・連帯保証人が不要
・原則として保証会社も不要

という特徴があります。

ただし重要なのは、URは「信用情報を一切見ない」と明言しているわけではありません。

URの審査は主に、

・収入基準
・家賃負担能力

を重視しています。

一般的には、月収が家賃の概ね4倍程度以上が一つの目安とされていますが、これは法律上の基準ではなく、URの運用基準です。

任意整理をしていても、現在の収入基準を満たしていれば契約できる可能性は十分あります

④ 公営住宅

公営住宅は、

・世帯収入
・世帯構成

を基準に入居資格が判断されます。

信用情報を中心とした審査ではないため、任意整理の影響を直接受けにくいという傾向があります。

ただし、

・抽選制であること
・入居条件が厳格であること

には注意が必要です。希望してすぐに入居できない可能性があることは、デメリットと言えるかもしれません。

⑤ シェアハウス・マンスリーマンション

短期的な選択肢として、

・シェアハウス
・マンスリーマンション

を利用する方法もあります。

これらは、

・通常の賃貸契約より審査が簡易な場合がある
・信用情報よりも支払能力を重視する傾向がある

といったメリットがあります。一時的に生活基盤を整え、収入実績を積み上げてから通常賃貸へ移行するという戦略も現実的です。

⑥ 不動産会社との誠実なコミュニケーション

申込書に虚偽記載をすることは避けましょう。虚偽申告があった場合、契約解除事由になる可能性があります。

その上で、

・任意整理をしたが現在は安定収入がある
・計画的に返済している

といった事情を説明することで、柔軟に対応してくれる不動産会社もあります。

特に、

・地域密着型
・個人オーナー物件

などは交渉余地があるかもしれません。

任意整理をしたからといって、すべての賃貸物件が借りられなくなるわけではありません。

重要なのは、

・現在の支払能力
・安定収入
・誠実な申告

です。

連帯保証人がいなくても、

・保証会社利用物件
・UR
・公営住宅
・短期賃貸

など、選択肢は複数あります。

断定的な情報に振り回されず、現状を正確に伝えた上で、適切な物件を選ぶことが最も重要です。

契約後にも気をつけたいお金と住まいの管理

「なんとかアパートを借りられた…」とひと安心したものの、賃貸契約は入居して終わりではありません。契約後も、家賃の支払いや契約条件の遵守が継続的に求められます。

任意整理中であっても、賃貸借契約の法的な扱いが特別に変わるわけではありません。しかし、返済を継続している状況では、収支のバランスを適切に管理することがこれまで以上に重要になります。

契約更新時の審査対策と家賃滞納防止

賃貸契約は「2年更新」とされていることが多いですが、これは法律上の決まりではなく、契約内容によります。また、更新時に改めて保証会社の審査が行われるかどうかも、契約条件や保証会社の運用によって異なります。

ただし、いずれの場合でも最も重要なのはこれまで家賃を滞納していないかどうかという点です。任意整理中であっても、家賃を継続して支払っている実績が最大の評価材料になります。

① 家賃滞納を防ぐ基本対策

まず重要なのは、期日どおりの支払いを徹底することです。

具体的には

・給料日と引き落とし日のバランスを調整する
・引き落とし日前日に残高を確認する
・余裕をもって口座に入金しておく
・可能であれば自動引き落としを利用する

これだけでも、滞納リスクは大きく下げることができます。

② 保証会社と信用情報について

保証会社が信販系の場合、更新時に信用情報の状況が確認される可能性があります。

一方で、いわゆる独立系保証会社の場合は、更新時の判断基準として

・家賃の支払状況
・現在の収入状況

などを重視するケースもあります。

ただし、「○○系ならほぼ通る」といった保証はできません。審査基準は公開されておらず、個別判断となります。重要なのは、この物件で滞納をしていないという事実です。

③ 支払いが難しくなりそうなときの対応

もし家賃の支払いが厳しくなりそうな場合は、できるだけ早く管理会社や貸主へ連絡することが重要です。

無断で滞納すると、

・遅延損害金の発生
・保証会社による立替
・契約解除請求

につながる可能性があります。

事前に連絡し、支払予定日を伝えることで、柔軟に対応してもらえるケースもあります。

※ただし、必ずしも猶予が認められるとは限りません。

④ 振込の場合は証拠を残す

振込払いの場合は、

・振込明細
・通帳記録

を保管しておくことをおすすめします。

家賃支払いの有無はトラブルになりやすく、証拠があると安心です。

⑤ 更新費用の準備

更新時には、

・更新料(地域・契約内容による)
・保証会社更新料
・火災保険料

などが発生することがあります。

更新料は地域差が大きく、0〜1か月分程度と幅があります。契約書で金額を必ず確認しましょう。更新月の数か月前から積み立てておくと安心です。

⑥ 法的に重要なポイント

家賃を長期間滞納すると、貸主は信頼関係の破壊を理由に契約解除を請求できる場合があります。

ただし、1回の遅れですぐ強制退去になるわけではありません。また、裁判を経なければ強制的に退去させることはできないことも、原則です。

とはいえ、滞納を繰り返すと更新できない場合や契約解除のリスクは高くなります。

任意整理中であっても、賃貸契約上の義務は通常と変わりません。更新時の最大の対策は、「家賃を滞納しないこと」これに尽きます。

「借りられた後の信用」を積み上げることが、住まいを守る最大のポイントです。

個人再生・自己破産をした場合の賃貸契約の注意点

① 個人再生・自己破産とは?

まず、それぞれの手続きの違いを簡単に整理します。

■ 個人再生とは

・裁判所を通じて借金を大幅に減額してもらう手続き
・原則3〜5年で分割返済していく制度
・住宅ローンを維持できる特則がある(住宅資金特別条項)

■ 自己破産とは

・支払不能になった場合に、借金の支払義務を免除してもらう手続き
・一定以上の財産や自宅などの不動産は処分対象になる場合がある
・生活に必要な最低限の財産は残せる

どちらも「違法な行為」ではなく、法律に基づく正当な制度です。

②手続きだけで退去になるの?

結論から言うと、個人再生や自己破産をしたことだけを理由に自動的に賃貸契約が解除されるわけではありません。

賃貸借契約は「家賃を支払うこと」が中心の契約です。家賃を滞納していなければ、原則としてそのまま住み続けることが可能です。

※契約書に「破産したら解除」といった条項があっても、消費者契約法や判例上、当然に有効とは限りません。

③家賃を滞納している場合の注意

注意すべきなのは「滞納」がある場合です。未払い家賃は破産・再生の対象債権になります。信頼関係が破壊されたと判断されれば、契約解除を請求される可能性があります。

ただし、1回の滞納で即退去になるわけではありません。また、強制退去には裁判手続きが必要です。とはいえ、滞納が続けばリスクは高まります。手続き中は特に「家賃優先」が重要です。

④保証会社との関係

保証会社が家賃を立て替えている場合、その立替金も手続きの対象になる可能性があります。今後の更新や新規契約に影響する場合があります。ただし、保証会社ごとに対応は異なり、一律ではありません。

⑤ 敷金はどうなる?

自己破産で管財事件になった場合、敷金返還請求権が財産として扱われることがあります。

もっとも、現在居住中であれば、通常は直ちに回収されるものではありません。実務上は生活維持が優先されるケースが多いです。

個人再生や自己破産をすると、信用情報に一定期間登録が残るため、信販系の保証会社を利用する物件では審査が厳しくなる可能性があります。ただし、新規の賃貸契約ができなくなるわけではありません。審査で重視されるのは、現在の収入の安定性や家賃負担の妥当性です。給与明細などで支払能力を示し、家賃を無理のない水準に抑えることが重要です。物件や保証会社を適切に選べば、契約できる可能性は十分にあります。

【重要】賃貸契約更新時の注意点

個人再生・自己破産をした場合、更新時に問題になることがあります。

① 更新に再審査はある?

契約内容によります。保証会社によっては更新時に再審査を行う場合があります。特に信販系保証会社では、信用情報の状況が影響する可能性があります。

ただし、

・これまで家賃を滞納していない
・現在の収入が安定している

場合は、更新できるケースも多くあります。

② 貸主から更新拒絶される?

普通借家契約の場合、貸主が更新を拒絶するには「正当事由」が必要です(借地借家法)。単に「破産した」という理由だけでは、通常は正当事由としては弱いと考えられます。

ただし、滞納やトラブルがある場合は更新拒絶の理由になり得ます。

③ 更新料・保証会社更新料

更新時には、

・更新料(地域差あり)
・保証会社更新料
・火災保険料

などが発生します。

手続き中は資金繰りが厳しくなりやすいため、更新費用の準備を早めに行うことが重要です。

④新しく部屋を借りる場合

個人再生・自己破産後は、信用情報に一定期間登録が残るため、保証会社の審査が厳しくなる傾向があります。

そのため、

・収入証明を用意する
・保証会社条件を事前に確認する
・URなど他の選択肢を検討する

といった対策をおすすめします。

個人再生・自己破産は借金問題を解決して「生活再建のための制度」です。手続きをしただけで住まいを失うわけではありません。正しい知識を持ち、冷静に対応することが、住まいを守る最大のポイントです。

退去時のトラブル回避と敷金返還について

退去時には、

・敷金が想定より返ってこない
・原状回復費用を高額請求される

といったトラブルが少なくありません。任意整理中など資金に余裕がない場合は特に、正しい知識を持つことが重要です。

① 借主が負担する範囲

原則として借主が負担するのは、

・故意・過失による損傷
・通常の使用を超える損耗(善管注意義務違反)

です。

一方、経年劣化や通常使用による摩耗は、原則として貸主負担とされています。

✔ 日光による壁紙の変色
✔ 家具設置による通常のへこみ

ただし、

・タバコのヤニ
・手入れ不足によるカビの拡大
・不適切使用による破損

などは借主負担になる可能性があります。

詳細は国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が参考になります。

※ガイドラインは法令ではありませんが、実務上重要な判断基準とされています。

② 契約書の特約について

契約書に「原状回復は借主全額負担」と記載されている場合でも、

・内容が不明確
・借主に一方的に不利
・説明が不十分

といった場合には、消費者契約法や判例により無効または制限される可能性があります。ただし、特約が常に無効になるわけではありません個別判断になります。

③ トラブル回避のポイント

■ 入居時の記録

・傷・汚れを写真で保存
・可能であれば書面で確認

これが最善の対処法です。

■ 退去立会い時

・請求の根拠を確認する
・「全面張替えが必要な理由」を聞く

納得できない場合は即決せず、見積書を持ち帰って検討しましょう。

④ 敷金が返らない場合

納得できない場合は、

・消費生活センター
・弁護士への相談
・少額訴訟

などの選択肢があります。正当な権利を主張することは問題ありません。

⑤ 掃除について

法律上、「プロレベルの清掃義務」は原則としてありません。

ただし、明らかな汚れやゴミの放置は借主負担になる可能性があります。通常の清掃をしておくことは無用なトラブル防止につながります。

まとめ

任意整理をすると、「もう部屋は借りられないのでは?」と不安になる方も少なくありません。結論から言えば、任意整理をしただけで賃貸契約ができなくなるわけではありません。ただし、審査には一定の影響が出る可能性があります。

任意整理をすると、信用情報機関に一定期間登録が残ります。そのため、信販系の保証会社を利用する物件では、審査が厳しくなることがあります。一方で、賃貸審査で最も重視されるのは「現在きちんと家賃を支払えるかどうか」です。安定した収入があり、家賃が収入に対して無理のない水準であれば、契約できる可能性は十分にあります。

すでに住んでいる物件の更新についても、任意整理をしたことだけで直ちに更新拒否になるわけではありません。普通借家契約では、貸主が更新を拒絶するには「正当事由」が必要とされており、単に債務整理をしたという事情だけでは足りないのが一般的です。ただし、家賃滞納がある場合は別で、更新や契約継続に影響することがあります。

任意整理後の賃貸契約では、過去よりも「今の支払能力」と「家賃の支払実績」が重要です。収入証明を準備し、家賃を滞納しないことを徹底すれば、住まいを確保することは十分可能です。不安がある場合は、不動産会社や専門家に早めに相談し、適切な物件選びを進めることが大切です。

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債務整理実績1万5821(2019年4月調べ)

その実績が認められ、日経産業新聞に掲載されました。(2012年4月27日)

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