任意整理の手続き中に、急な出費や生活費の不足で「今、お金を借りられないだろうか……」と悩んでいませんか?
インターネット上には「ブラックでもOK」「極甘審査」とうたう業者が多くありますが、任意整理中は信用情報に事故情報が登録されるため、正規の貸金業者から新たに借り入れるのは現実的に難しくなります。そんな状況につけこむ違法業者も少なくないため、安易に申し込むと、かえって状況を悪化させるおそれがあります。
この記事では、任意整理中に借り入れが難しい理由、極甘審査をうたう業者の実態とリスク、そして生活福祉資金貸付制度など、安全な資金確保の方法をわかりやすく解説します。
任意整理中でも借りられる?大手・中小消費者金融の審査実態
任意整理中であっても「絶対に借りられない」わけではありません。しかし、一方で「中小消費者金融なら必ず借りられる」という情報も正確とは言えないのが実情です。
正規の貸金業者であれば、規模を問わず返済能力の審査が必ず行われます。具体的な審査基準は各社が独自に設定しているため、任意整理中の融資を確実に保証できる業者は存在しません。
なお、インターネット上で目にする「極甘審査ファイナンス」という言葉は、検索時に使われる俗称に過ぎず、正式な金融商品の区分ではない点に注意しましょう。
まずは大手と中小消費者金融の審査に関する基本的な違いを以下の表でご確認ください。
| 項目 | 大手消費者金融 | 中小消費者金融 |
| 審査の有無 | あり(返済能力の確認) | あり(返済能力の確認) |
| 審査基準の公開状況 | 非公開 | 非公開 |
| 申込方法 | WEB、アプリ、店舗など | WEB、電話、郵送など |
| 任意整理中の融資保証 | なし | なし |
大手と中小を問わず返済能力の審査が行われる
貸金業法により、正規の貸金業者には申込者の返済能力を調査することが義務付けられています。審査では収入や信用情報、既存の借入額、さらには今後の返済計画などが総合的に確認される仕組みです。
「大手は機械審査だから自動的に落ちる」「中小は人情で貸してくれる」といった極端な噂を耳にするかもしれません。しかし、これらは噂に過ぎず、実体とは異なります。大手も中小もそれぞれ独自の審査基準を設けて厳密な確認を行っており、具体的な審査方法や通過基準はセキュリティ上の理由から社外へ公開されていません。
任意整理中である事実も含め、客観的なデータに基づいて判断されるため、定期的な収入がないなど返済能力の証明が難しい場合は、会社の規模を問わず通過が難しくなるでしょう。
任意整理中の信用情報が新規借入の審査に影響する可能性がある
債務整理の手続きを行うと、信用情報機関にその事実が一定期間登録されます。この情報は、新たなローンやクレジットカードを申し込む際の重要な判断材料です。
登録期間は信用情報機関や契約時期によって異なるため、「任意整理後は一律5年で記録が消える」「5〜10年は完全にブラックになる」と単純に割り切れるものではありません。
信用情報に記録がある間は新規借入のハードルが高くなる傾向にあります。とはいえ、信用情報の照会結果だけで全てが自動的に決まるわけではありません。現在の収入状況や他社借入残高などを加味し、各社が総合的に判断を下します。
中小消費者金融でも任意整理中の融資を保証することはできない
正規の中小消費者金融の中には「独自審査」や「柔軟な対応」を掲げている会社も存在します。ただ、これは「審査がない」とか「債務整理中でも確実に通る」という意味ではありません。
ネット上には「ブラックでも借りられた」という可決報告が見られますが、投稿者とご自身では年収や借入状況などの属性が異なります。同じ結果になるとは限らないため、不確かな口コミだけで融資を期待するのは避けたいところです。
仮に「極甘審査ファイナンス」といった魅惑的な広告を見かけたとしても、融資を確約するものではありません。慎重に申し込みの必要性を見極めましょう。
即日融資の可否は審査や契約手続きによって異なる
即日融資をうたう商品であっても、必ず当日に資金を受け取れるとは限りません。申し込みの時間帯によっては、審査結果の回答が翌営業日に持ち越されるケースも一般的です。
さらに、本人確認や在籍確認、必要書類の提出に時間がかかれば融資は後回しになります。審査の進捗によっては、追加の収入証明書類を求められる場合もあるでしょう。
指定口座への振込可能時間を過ぎると、仮に審査を通過しても当日中の入金は行われません。「午前中に申し込めば確実」「〇時までなら即日完了」といった言葉を真に受けず、手続きには十分な余裕を持って臨む必要があります。
「極甘審査ファイナンス」「神金融」「審査なし」をうたう業者には注意
お金に困っている状況であっても、利用を検討している業者の安全性は必ず確かめてください。甘い言葉に隠された危険を回避するためのポイントを見ていきましょう。
「極甘審査ファイナンス」や「審査なし」を前提にした借入は考えない
前述の通り、正規の貸金業者は返済能力の調査が義務付けられているため、審査なしで貸し付けることは法律上あり得ません。
そのため、以下のような魅惑的な表現を見かけた場合は警戒が必要です。
【危険ワードチェック】
- 「極甘審査ファイナンス」「神金融」などの煽り文句
- 「審査一切なし」「誰でも即日融資」という無条件の訴求
- 「ブラックでも100%可決」といった極端な誇大広告
これらの言葉を多用する業者は、違法なヤミ金融である可能性が極めて高いと考えられます。甘い話に乗せられて安易に申し込まないことが、身を守る鉄則と言えるでしょう。
金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで登録を確認する
日本国内で貸金業を営む場合、国や都道府県への登録が必要です。気になる業者があれば、契約前に必ず金融庁のサービスで実態を確認してください。
【正規貸金業者の確認すべきポイント】
1. 広告やWEBサイトに記載された「会社名」と「登録番号」を確認
2. 金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」にアクセス
3. 検索結果の商号・所在地・電話番号と広告内容を照合
4. 法定金利(年15~20%以内)や契約条件が適切か最終確認
悪質業者は、実在する正規業者の登録番号や社名を勝手に騙ることがあります。番号だけでなく、電話番号や所在地まで完全に一致するかどうかまで入念に照らし合わせることが大切です。
正規の貸付けには元本に応じて年15~20%の上限金利がある
貸金業者の金利は、利息制限法によって以下のように上限が定められています。
- 元本が10万円未満:年20%
- 元本が10万円以上100万円未満:年18%
- 元本が100万円以上:年15%
「10日で1割(トイチ)」などの法外な高金利は論外として、金利が年20%以下に収まっているからといって無条件に安全とは言い切れません。手数料や違約金などの名目で不当な金銭を請求するケースもあるため、契約内容の隅々まで目を光らせる必要があります。
SNSの個人間融資はヤミ金融や犯罪被害のリスクがある
SNSや掲示板を通じた「個人間融資」には、恐ろしいリスクが潜んでいます。個人を装っていても、その実態は無登録のヤミ金融であることがほとんどです。
安易に利用すると、法外な金利を要求されたり、個人情報を悪用されて二次被害に遭ったりするおそれがあります。最悪の場合、執拗な取り立てや犯罪への巻き込まれる事態に発展しかねません。金融庁も強く注意喚起を行っているため、SNSを通じた個人間のお金のやり取りは絶対に避けましょう。
給与ファクタリングや先払い買取を装った貸付けにも注意する
近年は「給与ファクタリング」や「先払い買取現金化」といった手口が横行しています。形式上は商品の売買や権利の譲渡に見えても、実体は違法な貸付けであるケースが多発しているのが現状です。
受け取る現金に対して支払う手数料が実質的に法定金利を大幅に超えていたり、高額な違約金を請求されたりするトラブルが後を絶ちません。「借金ではないから安心」という謳い文句に惑わされず、構造を冷静に見極める姿勢が求められます。
任意整理中に追加で借入する前に確認したいリスク
「審査に通るか」ということ以上に重要なのは、「借入後に返済計画を維持できるか」という点です。追加で借り入れるリスクについて客観的に整理しておきましょう。
任意整理を依頼している弁護士・司法書士へ事前に相談する
お金が必要になった時は、まず任意整理を依頼している専門家へ状況を打ち明けてみてください。事前の相談なしに借入を行った場合、信頼関係が崩れて委任契約を解除される可能性も否定できません。
一方で、事前に相談すれば家計の状況を客観的に分析してもらえる上、適切なアドバイスを受けられます。無理な借入に頼る前に、別の解決策が見つかることも珍しくありません。
追加借入で任意整理後の返済計画が崩れる可能性がある
任意整理は、将来利息をカットするなどして月々の返済額を無理のない範囲に調整する手続きです。そこに新たな返済が加われば、家計の固定費は確実に増加します。
【追加借入前の返済可能額チェック】
- 現在の和解返済額:月〇万円
- 追加借入の返済額:月〇万円
- 合算後の毎月返済額:月〇万円(←本当に支払えるか?)
- 残る生活費:月〇万円(←急な出費に耐えられるか?)
返済のために和解先の支払いが滞れば、債権者から残金の一括請求を受ける事態にも発展しかねません。現在の生活を壊さないためにも、慎重な検討が必要です。
貸金業者からの借入には総量規制が関係する
消費者金融などの貸金業者から借り入れる場合、年収の3分の1を超える貸付けを禁止する「総量規制」が適用されます。現在返済中の任意整理の対象債務もこの借入残高に含まれるため、新たな借入が制限されるケースは多いでしょう。
銀行のローンなど一部対象外となる例外もありますが、自身の残高と年収のバランスを正しく把握しておくことが前提となります。
返済が難しい場合は債務整理の方針を再検討する
追加の借入で一時的にしのぐやり方は、根本的な解決になりません。現在の返済額が今の家計に合っていないと感じるなら、債務整理の方針そのものを再検討するタイミングかもしれません。
- 再和解:債権者と再交渉し、月々の支払額を減らしてもらう
- 個人再生:裁判所を通じて大幅な減額を目指す
- 自己破産:支払不能を認められ、返済義務の免除を受ける
状況に応じた手続きを選択することで生活の再建を目指せます。一人で悩まず、依頼中の専門家に正直な状況を伝えてみてください。
任意整理中に借入を申し込む際の基本的な注意点
もし借入を申し込むことになった場合、審査において留意すべき基本的なポイントを解説します。
年収や他社借入などの申込情報は正確に申告する
申し込みの際は、年収や勤務先、既存の借入状況などを偽りなく申告してください。審査を有利にしようとして嘘の情報を記載すると、信用情報の照会によって簡単に露呈し、即座に否決される原因となります。
虚偽申告の記録が残ると将来の取引にも悪影響を及ぼすため、誠実で正確な申告を徹底しましょう。
必要に応じて収入証明書類を提出する
貸金業法では、1社からの借入が50万円を超える場合や、他社との合算で100万円を超える場合に収入証明書類の確認が義務付けられています。
条件に該当しない場合でも提出を求められることがあるため、源泉徴収票や直近の給料明細書などをあらかじめ手元に用意しておくと手続きがスムーズです。
短期間の複数申込みは信用情報に記録される
焦りから短期間に何社もの金融機関へ申し込むと、その履歴が信用情報機関に記録され、「資金繰りに相当困窮している」とみなされて不利に働くことがあります。
いわゆる「申し込みブラック」と呼ばれる状態で、無駄に審査通過率を下げないためにも、申し込みは真に必要な1〜2社にとどめるのが賢明です。
「債務整理中でも可決した」という口コミだけで判断しない
ネット上の「ブラックでも審査に通った」という体験談は、属性が異なる他人のケースに過ぎません。「神金融ランキング」などの不確かな情報に振り回されると、思わぬトラブルに巻き込まれる危険もあります。他人の口コミより、客観的な貸付条件や正規登録の有無を基準に判断してください。
任意整理中にお金が足りない場合の借入以外の対処法
お金が不足した際の選択肢は新規の借入だけではありません。借金を増やさずに乗り切るための代替手段を整理しました。
【資金不足時の選択肢】
1. 家計の不用品売却(即金性・リスクなし)
2. 質屋の利用(品物を担保化・信用情報影響なし)
3. 公的制度の相談(生活福祉資金・自立支援制度)
4. 専門家へ再相談(返済計画の見直し・手続き変更)
生活福祉資金など公的な貸付制度を相談する
低所得世帯などを対象とした公的な支援制度として「生活福祉資金貸付制度」が存在します。社会福祉協議会が窓口となっており、無利子または低利で生活費などの貸付けを行っています。即日融資には対応していませんが、セーフティネットとして相談してみる価値はあるでしょう。
生活困窮者自立支援制度で家計や生活について相談する
自治体が設置する相談窓口では、生活や就労に関する包括的なサポートを受けられます。住居確保給付金の支給申請や、専門家による家計改善のアドバイスなど、根本的な生活再建に向けた伴走支援が期待できます。
不用品の売却なら借金を増やさず資金を確保できる
使っていない家電やブランド品を売却する方法は、返済義務を生じさせない最も安全な手段です。リサイクルショップなら即日現金化が可能ですし、フリマアプリを活用すればより高値で売れる可能性もあります。
質屋はカードローンとは仕組みが異なる
価値のある品物を所有しているなら、質屋の利用も一案です。品物を担保として預けることで資金を調達する仕組みのため、信用情報の照会が行われません。期限内に元金と質料を支払えば品物は戻りますし、返済できなくても品物を手放せば督促を受ける心配がない点がメリットです。
任意整理の返済そのものが厳しい場合は専門家へ再相談する
家計を見直しても和解金の支払いが難しい時は、新たな借り入れを探すのをやめて弁護士や司法書士へ速やかに連絡しましょう。返済計画の再交渉や別の法的手段への切り替えなど、前向きな解決策を提示してもらえるはずです。
任意整理後の信用情報はいつ回復する?
任意整理を行うと信用情報に影響が出ますが、その記録が消えるまでの期間は信用情報機関によって異なります。
| 信用情報機関 | 主な加盟会員 | 任意整理に関連する主な登録情報 | 代表的な登録期間 |
| CIC | クレジットカード会社、信販会社など | クレジット情報(異動情報など) | 契約期間中および契約終了後5年間 |
| JICC | 消費者金融、信販会社など | 信用情報(債務整理等の事実) | 契約期間中および契約終了後5年間など(※契約時期等により異なる) |
| 全国銀行個人信用情報センター | 銀行、信用金庫、農協など | 取引情報(代位弁済など) | 契約期間中および契約終了日から最長5年間 |
CICやJICCでは契約情報等が契約終了後も一定期間登録される
CICやJICCでは、完済して「契約が終了した日」から起算して原則5年間、情報が保持されます。和解した日から5年ではない点に留意してください。仮に完済までに3年かかった場合、和解から起算すると約8年間は情報が残る計算になります。
銀行系の信用情報では登録される内容・期間が異なる
全国銀行個人信用情報センターでも、取引情報は契約終了から最長5年間保持されます。なお、任意整理は裁判所を介さない手続のため官報には載らず、破産などの官報情報(最長7年)とは区別されます。
自分の信用情報は本人開示で確認できる
信用情報がどうなっているか気になる場合は、情報機関へ情報開示請求を行うことで直接確認が可能です。スマホなどから千円程度で申請でき、現在の登録状況を把握できます。
信用情報の登録期間終了後もローン審査は各社判断となる
記録が消えたからといって、必ずローン審査に通る保証はありません。各金融機関は現在の年収や勤続年数などを総合的に審査するため、焦らず着実に信用を積み重ねていく姿勢が大切です。
まずは無料相談で、あなたに合った解決方法を確認しましょう
債務整理の実績1万5,821件(2019年4月調べ)。借金の状況をお聞きし、手続きと費用の見通しをご説明します。
【平日】9:00~18:30 【土・日・祝日】10:00~17:00
まとめ
任意整理中の資金繰りは非常にデリケートな問題です。借入が難しいからといって、ヤミ金融や個人間融資などの危険な手段に手を出すのは絶対にやめましょう。
【借りる前に専門家へ再相談した方がよいケース】
- 追加借入をしないと今月の和解金が払えない
- 生活費が毎月赤字で補填しきれない
- すでに他社からの追加借入を行ってしまっている
- 収入が減少し、将来的な返済の目処が立たない
このような状況に当てはまる場合は、借金で借金を返す悪循環に陥る前に、依頼中の弁護士や司法書士、あるいは公的機関への相談を優先してください。
くすの木総合法務事務所では借金問題解決の専門家として電話やメール、LINEでのご相談を無料で受付しております。電話相談は24時間受付しておりますので、借金に悩み、不安がある方は、まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者

司法書士 行政書士 くすの木総合法務事務所
代表:藤田 太
- 保有資格
- 司法書士(日本司法書士会連合会所属、埼玉司法書士会所属 登録番号 第1124号、簡裁訴訟代理等関係業務認定 第601564号)
- 行政書士(日本行政書士会連合会所属、埼玉県行政書士会所属 登録番号 第07131937号)
1978年生、中央大学法学部卒業。大学卒業後、サラリーマンとして営業職、大手予備校勤務を経て司法書士試験、行政書士試験に合格。趣味は釣り(フライフィッシング)とドライブ、バスケットボール。敷居の低い事務所、頼れる街の法律家を目指して日々精進中。











