近年「過払い金請求」という言葉を何かと目にすることが多くなったことでしょう。
正式には「過払い金返還請求」と言うのですが、これは過去に払い過ぎた利息分を取り返す手続きを指します。
どうして過払い金が発生するのか、どうしてお金が戻ってくるのか。
詳しくは下記に掲載しておりますのでご覧ください。
2つの金利帯
過払い金が発生する原因には、金利に関しての法律で金利帯が2つあることが挙げられます。現在の賃金の利息を制限する法律は2つあります。
1つ目は「利息制限法」、2つ目は「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)」です。
利息制限法では、金額に応じて金利が3つの区分に分類されます。
①10万円以上 = 年間20%
②10万円以上 ~ 100万円未満 = 年間18%
③100万円以上 = 年間15%
現在の法律では、この上限を超える利息で結ばれた契約が原則無効になります。
しかし、過去において、消費者金融やクレジットカード会社によっては一般的に年20%台という法外な利息で融資を行っており、そしてお金を借りた側も、約束通りに返済しているケースが多いのです。
例えば貸金業者から100万円を借りた場合、利息制限法によれば業者が設定する利息は15%が限界となります。法律に則った場合には、年間で15万円ほどの利息を業者側が受け取るのです。
しかし、もし業者が25%の金利で契約を結んでいたとしたら、利息分として年間に25万円が業者に入ることとなります。
両ケースの差額は1年で10万円となり、これが過払い金だと判断されるのです。
「利息制限法 < グレーゾーン ≦ 出資法」という考え
実は利息制限法において、貸金業者が利息の上限を超えて契約を結んだとしても罰則を受けることはありません。
しかし「出資法」では、定められた利息を超えると厳重な罰則を受けます。
かつて、出資法における利息の上限は29.2%でした。これを超える利息を設定した契約を結んだ貸金業者は「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金」という罰則が与えられることになります。
そのため、貸金業者は出資法の上限である29.2%以下の金利を保つことを優先していました。
その上で罰則を受けない利息制限法の上限を超えた利息を設定していたのです。
つまり「利息制限法 < 業者の設定する利息 ≦ 出資法」という状態になります。
この処罰を回避できる金利を「グレーゾーン金利」と呼びます。
過払い金が返還される流れ
業者との取引が利息制限法の上限利率を超えている場合、これまでの取引の明細を業者側が開示する必要があります。
業者がグレーゾーン金利で利息分を受け取っていた場合には、明細を計算した際に必ず差額が生じます。この差額は元金をはじめとする借金の返済にあてられるのです。
場合によっては、借金が完済されるだけではなく余分な金額が生じることがあります。
そうした場合は業者が不当に利益を得ていたことになるため、過払い金として債務者に返還します。
過払い金は、長い間にわたって借金を返済してこられた方は返還される可能性が高いです。
現在も借金をしている方や、過去に借金を完済したが高い金利でお金を借りていた方などは、一度専門家にご相談されることをオススメします。