いくつもの金融機関からお金を借り、利息が雪だるま式に大きくなって返済に困る状態のことを「多重債務」と言います。
「個人再生」とは、この多重債務を整理して借金の金額を圧縮してもらうことです。
任意整理は難しいが、自己破産まではしたくないという人に最適の借金整理方法です。
この個人再生のやり方やメリット、デメリットなどについてご紹介します。
個人再生に向いている人とは?
借金整理の方法はいくつかありますが、困窮の度合い順に言えば一般的に「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」となります。
個人再生は、このままでは破産してしまう恐れがある方の借金の一部を民事再生法に基づいて、圧縮しようというものです。
最低弁済基準額は下記のとおり(以下、債務とは基準債権総額のこと)
1.債務が 100万円未満 → 債務の全額
2. 〃 100万円以上 500万円未満 → 100万円
3. 〃 500万円以上1500万円未満 → 債務の2割の額
4. 〃 1500万円以上3000万円以下 → 300万円
5. 〃 3000万円を超え、5000万円以下 → 債務の1割の額
上記の額を原則として3年で返済していきます。ただし、借金の中に住宅ローンは含まれません。
住宅ローンに関しては、まったくの別枠になります。
そのため、個人再生を行ったとしても住宅を手放す必要はありません。
その代わり、個人再生は誰でも行えるものではなく主に以下のような条件が必要になります。
・客観的に見て、このまま借金を返済することができないと判断される
・安定した収入がある
・住宅ローン以外の借金が5000万以下の人
個人再生のメリット、デメリット
個人再生の最も顕著なメリットは、住宅を手放さずに借金の圧縮が行えるという点です。
また個人再生を行うことで、債権者が取り立てや給与の差し押さえなどの強制執行を行えなくなります。
一方でデメリットもあります。いわゆるブラックリストに載ります。期間は5~10年ほどで、その間は新たな借入を行うことはできません。
また官報に住所と氏名が記載されます。
個人再生を行うと借金が圧縮されて生活が楽になるものの、一度でも返済が滞ると債権者から「再生計画の取り消し」の申し立てをされる可能性があります。
この異議申し立てをされると圧縮された借金は元の金額に戻ってしまい、さらに債権者に一括返済を求める権利が発生しますので注意が必要です。
個人再生の基本的な流れ
個人再生は、債務整理の中でも複雑な手続きが必要になります。弁護士や司法書士といった専門家に相談するのがおすすめです。
個人再生をすることを決めたら、専門家から債権者に対して「受任通知」を発送し、原則として債権者からの取り立てがストップします。
その後、専門家の事務所に個人再生を行うために必要な書類を持っていきます。
その書類をもとに専門家が申立書を作成して地方裁判所に提出するのです。そして裁判所での面接後、確定された債権総額をもとに「再生計画案」を作成・提出し、認可されれば手続きは終了です。
個人再生の手続き開始から認可が下りるまで、約6か月かかります。
個人再生は安定した収入があり、減らされた金額なら返済できるという場合には楽な債務整理方法です。
個人で手続きを行うことも可能ですが、申立書の内容によっては有利になったり不利になったりすることもあります。
出来る限り、専門家に依頼して行っていくのが良いでしょう。