複数の金融業者から借金を重ね、返済が難しくなってきたときに考えるのが債務整理です。
任意整理や個人再生、自己破産などいくつか方法がありますが、その際に忘れてはならないのが「連帯保証人」の存在です。
借金整理で借りた本人の借金が圧縮または帳消しになって生活が楽になっても、その分の請求が連帯保証人にいくということを忘れてはいけません。
債務整理の前に知っておきたい「連帯保証人と借金の関係」についてご紹介します。
連帯保証人がいる場合の自己破産は注意が必要
連帯保証人とは、借りた本人が借金を返済できなくなったとき代わりに返済する人のことです。借りた人が「返せない」となったとき、代わりに借金返済の責任を負います。
借りた人が「もうどうすることもできない」と自己破産した場合、借りた人の借金はそこで帳消しになりますが、残った借金の返済は連帯保証人のもとに一括で請求されます。
借りた人が返せなくなった場合のことを考えて設けられているのが連帯保証人だからです。
連帯保証人への請求は免れることができないもので、債権者の一括請求による強制執行を拒むことはできません。
連帯保証人にできることは、特定調停等によって強制執行を止め、債権者と話し合いの上で借金を減額する程度で、どのみち残された借金は原則として返さなくてはなりません。
金額が大きすぎて返しきれない場合は、連帯保証人も自己破産せざるを得なくなることもあります。
個人再生と連帯保証人
自己破産と個人再生はともに裁判所を通す手続きになり、債権者問わず借りた借金すべてが整理対象となります。
個人再生は借金を原則として5分の1または100万円にまで減らしてもらう手続ですが、貸した業者としては、5分の1まで踏み倒されてしまってはたまりません。
だから連帯保証人がいる場合は、借り主が免除された部分を連帯保証人に請求します。
一括返済を求める業者もあれば、交渉次第では分割での返済に応じる業者もいます。
借りた人と連帯保証人合わせて、返済総額に達すれば返済完了になります。
任意整理、特定調停と連帯保証人
自己破産、個人再生は業者や連帯保証人の有無は関係なく借り主の借金すべてが整理対象になるのに対し、任意整理と特定調停は整理したい債権者を選ぶことができます。
「連帯保証人がついている借金は迷惑がかかるので整理対象に入れない」ということも可能です。
また、連帯保証人がついている借金に関しては、「保証人から回収すればいい」ということで、債権者が任意整理や特定調停に応じてくれない可能性が高いという側面もあります。
借金が返せなくなった時、最も迷惑をかけるのが連帯保証人です。
連帯保証人がついている借金の整理を考える場合は、まず司法書士や弁護士に相談して十分に対策を立ててから債務整理に入ることが大切です。